重度重複障害児・者の呼吸障害の長期観察による悪化要因の分析

【目的】重度重複障害児・者の呼吸障害の予後の判定, 呼吸不全への進展の予防, 治療・病態解明の一助とするため, 長期経過をまとめ各要因の果たす役割を分析した. 【対象と方法】当院に入院または通院中の座位不能な重度重複障害児で, 呼吸障害を有するもののうち3年以上観察しえた46名. 安定時の動脈血ガスの夜間SaO_2 90%以下の割合(% Desat.)の経過. 悪化要因として上気道狭窄, 胸郭変形, 後側弯, 誤嚥, 咳嗽反射低下, GER(胃食道逆流), 下気道感染頻度, 慢性肺病変(X線上)をおのおの4段階評価した. 【結果】対象者の平均年齢18.6歳. 観察期間は平均7.3年であった....

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 32; no. 12; pp. 934 - 935
Main Authors 舟橋満壽子, 長博雪, 許斐博史, 志倉圭子, 鈴木康之, 山田和孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.12.1995
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ISSN0034-351X

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Summary:【目的】重度重複障害児・者の呼吸障害の予後の判定, 呼吸不全への進展の予防, 治療・病態解明の一助とするため, 長期経過をまとめ各要因の果たす役割を分析した. 【対象と方法】当院に入院または通院中の座位不能な重度重複障害児で, 呼吸障害を有するもののうち3年以上観察しえた46名. 安定時の動脈血ガスの夜間SaO_2 90%以下の割合(% Desat.)の経過. 悪化要因として上気道狭窄, 胸郭変形, 後側弯, 誤嚥, 咳嗽反射低下, GER(胃食道逆流), 下気道感染頻度, 慢性肺病変(X線上)をおのおの4段階評価した. 【結果】対象者の平均年齢18.6歳. 観察期間は平均7.3年であった. (1)46名中33名が呼吸不全へ移行. I型17名, II型16名. うち死亡はI型4名, II型1名. (2)中枢神経障害のより高度なものほど, 低年齢でI型呼吸不全に, 軽度なものほど年長でII型呼吸不全になる傾向があった. (3)最大悪化要因は, 誤嚥, 咳嗽反射低下, 下気道感染, ついで上気道狭窄, 胸郭変形, 胃食道逆流であった. (4)胸郭変形の強いものはII型に多く, 慢性肺病変の強いものはI型に多い. (5)筋緊張亢進型では後側弯が, 筋緊張変動型では上気道狭窄が強いものほどII型が多い. (6)悪化要因は多因子性であり, これらの要因に対し嚥下・呼吸運動の発達促進を含むリハビリテーションアプローチが重要である.
ISSN:0034-351X