パーキンソン病とスモン患者の骨折と予後への影響

今回われわれはパーキンソン病(パ病), スモンの経過中に受傷した骨折と以後の障害度への影響について検討した. 【方法】対象はパ病86例(男26例, 女60例. 平均年齢±SD 68.7歳), スモン160例(男28例, 女132例. 67.7±11.6歳)で, 発症後に受傷した骨折の部位と骨折後の能力障害の経過を骨折前と比較し検討した. 次に下肢骨折, 脊椎圧迫骨折を受傷したパ病について骨折前後の神経症候の経年変化を検討した. 【結果】1)骨折の既往はパ病では32.6%(男の19.2%, 女の38.3%), スモンでは30%(男の14.3%, 女の33.3%)でみられた. 骨折件数はパ病34件...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 32; no. 11; p. 765
Main Authors 山田孝子, 加知輝彦, 田村友一, 安藤一也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.11.1995
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Summary:今回われわれはパーキンソン病(パ病), スモンの経過中に受傷した骨折と以後の障害度への影響について検討した. 【方法】対象はパ病86例(男26例, 女60例. 平均年齢±SD 68.7歳), スモン160例(男28例, 女132例. 67.7±11.6歳)で, 発症後に受傷した骨折の部位と骨折後の能力障害の経過を骨折前と比較し検討した. 次に下肢骨折, 脊椎圧迫骨折を受傷したパ病について骨折前後の神経症候の経年変化を検討した. 【結果】1)骨折の既往はパ病では32.6%(男の19.2%, 女の38.3%), スモンでは30%(男の14.3%, 女の33.3%)でみられた. 骨折件数はパ病34件, スモン69件で, 内訳は前者では大腿骨頸部・大腿骨骨折13件, 脊椎圧迫骨折8件, その他13件であり, 後者ではそれぞれ5件, 22件, 42件であった. 骨折以後, 能力障害の悪化はパ病では46.4%, スモンでは12.5%でみられ, 大腿骨頸部・大腿骨骨折を受傷した18例中14例が悪化を示した. 2)パ病で下肢骨折または脊椎圧迫骨折を受傷した21例での, 骨折前後の神経症候の経年変化では, 静止振戦, 筋強剛は骨折前後で著明な変化はなかった. 無動, 姿勢反射障害は骨折後より増強し, それにともないYahrの重症度も骨折以後経年的に悪化した. 痴呆も骨折後より出現率が増加した. 【まとめ】骨折のなかで大腿骨頸部骨折以後, 両疾患では運動障害の増悪を示す率が高かった. パ病では骨折後無動, 姿勢反射障害の増悪を示し, 痴呆の出現も増加した.
ISSN:0034-351X