鈍的胸部外傷による胸部気管損傷の1例

鈍的胸部外傷による胸部気管損傷の1例を経験した. 【症例】17歳男性. 仰臥位でいたところ, 前胸部にコンクリートブロックを落とされ受傷. 受傷12時間後に頸部圧迫感が出現したため来院した. 胸部単純X線写真では, 縦隔気腫・皮下気腫を認め, さらに気管分岐部の左側の気管と左主気管支の陰影は不鮮明であった. 胸部CTでは気管分岐部の左側に血腫像を認めた. 画像上, 気管分岐部の損傷が疑われた. 気管支鏡検査所見は, 気管分岐部直上の気管膜様部の全層縦走裂創であった. 気管損傷部を直接縫合し第10病日に退院した. 【考察】鈍的胸部外傷で進行する縦隔気腫・皮下気腫を認めた場合, 気管・気管支損傷を...

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Published in気管支学 Vol. 22; no. 4; p. 316
Main Authors 増田良太, 藤森賢, 濱本篤, 朴在善, 米谷文雄, 西海昇, 鶴見豊彦, 加賀基知三, 岩崎正之, 井上宏司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本気管支学会 25.05.2000
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Summary:鈍的胸部外傷による胸部気管損傷の1例を経験した. 【症例】17歳男性. 仰臥位でいたところ, 前胸部にコンクリートブロックを落とされ受傷. 受傷12時間後に頸部圧迫感が出現したため来院した. 胸部単純X線写真では, 縦隔気腫・皮下気腫を認め, さらに気管分岐部の左側の気管と左主気管支の陰影は不鮮明であった. 胸部CTでは気管分岐部の左側に血腫像を認めた. 画像上, 気管分岐部の損傷が疑われた. 気管支鏡検査所見は, 気管分岐部直上の気管膜様部の全層縦走裂創であった. 気管損傷部を直接縫合し第10病日に退院した. 【考察】鈍的胸部外傷で進行する縦隔気腫・皮下気腫を認めた場合, 気管・気管支損傷を疑う. 損傷部位の診断には, 画像上の気管支陰影の不鮮明と血腫像が手がかりとなる. 気管支鏡所見は実際の損傷よりも過小評価されやすく, 受傷早期の手術が重要である.
ISSN:0287-2137