セルロースアセテート膜電気泳動法による血清蛋白分画操作法に関する研究(第3報)―緩衝液条件の見直し

【目的】近年, 電気浸透現象のないセルロースアセテート膜(セパラックス-SP等)の需要が高くなりつつある, しかし, 使用条件に関しては, 自動泳動機メーカー及びユーザー各所において様々であり, そのために生じる問題も少なくない. そこで, 電気浸透のないセルロースアセテート膜での蛋白分画に関する標準操作法の改定を提案するため, 通電及び緩衝液条件を定める基礎的実験を行った. これにより確認された知見を, ここに報告する. 【実験方法】1. セア膜:セパラックス-SP), 2. 検体:健常ヒト血清, 高脂血症及びM蛋白血症患者血清, 3. 緩衝液の種類とイオン強度:(1)トリス-塩酸緩衝液(P...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in生物物理化学 Vol. 38; no. 2; p. 71
Main Authors 井上潤子, 岸美紀, 吉田隆, 長倉和美, 須員幸子, 長裕子, 芝紀代子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本電気泳動学会 01.04.1994
Online AccessGet full text
ISSN0031-9082

Cover

More Information
Summary:【目的】近年, 電気浸透現象のないセルロースアセテート膜(セパラックス-SP等)の需要が高くなりつつある, しかし, 使用条件に関しては, 自動泳動機メーカー及びユーザー各所において様々であり, そのために生じる問題も少なくない. そこで, 電気浸透のないセルロースアセテート膜での蛋白分画に関する標準操作法の改定を提案するため, 通電及び緩衝液条件を定める基礎的実験を行った. これにより確認された知見を, ここに報告する. 【実験方法】1. セア膜:セパラックス-SP), 2. 検体:健常ヒト血清, 高脂血症及びM蛋白血症患者血清, 3. 緩衝液の種類とイオン強度:(1)トリス-塩酸緩衝液(PH8.6, μ=0.04~0.07)(2)ベロナールNa-塩酸緩衝液(PH8.6, μ=0.04~0.07), (3)ベロナール-ベロナールNa緩衝液(pH8.6, μ=0.01~0.12)(以下ベロナール緩衝液), 4. 通電=0.6mA/cm, 5. 蛋白染色:ボンソー3R, b. リポ蛋白染色:オゾン化シッフ法 【結果】トリス-塩酸緩衝液ではα1-G分画が分離せず, 5分画に分離されなかった. イオン強度が高いほどα1-G分画が分離するが, パターンはシャープにならなかった. ベロナールNa-塩酸緩衝液では5分画に分離されたが, やや分画がブロードであった.
ISSN:0031-9082