大腿骨頸部骨折に対するbipolar型人工骨頭置換術の治療成績
「目的」全身合併症を有することが多い高齢者の大腿骨頸部骨折の治療に際しては, 術後合併症を減らすことや再手術を要しないようにすることが重要である. その意味で今回我々は大腿骨頸部骨折に対して行ったbipolar型人工骨頭置換術症例を調査し, 術後成績と合併症について臨床評価とX線評価を行った. 「方法」1984~1991年に大腿骨頸部骨折に対して行ったbipolar型人工骨頭置換術のうち, 術後2年以上(2~10年)追跡できた85人を対象とした. 内訳は新鮮骨折70人, 偽関節8人, 晩期骨頭壊死7人であり, 平均術後経過期間は各4.4,4.6,5.7年であった. 用いたインプラントはOste...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 35; no. 12; p. 1074 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
18.12.1998
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ISSN | 0034-351X |
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Summary: | 「目的」全身合併症を有することが多い高齢者の大腿骨頸部骨折の治療に際しては, 術後合併症を減らすことや再手術を要しないようにすることが重要である. その意味で今回我々は大腿骨頸部骨折に対して行ったbipolar型人工骨頭置換術症例を調査し, 術後成績と合併症について臨床評価とX線評価を行った. 「方法」1984~1991年に大腿骨頸部骨折に対して行ったbipolar型人工骨頭置換術のうち, 術後2年以上(2~10年)追跡できた85人を対象とした. 内訳は新鮮骨折70人, 偽関節8人, 晩期骨頭壊死7人であり, 平均術後経過期間は各4.4,4.6,5.7年であった. 用いたインプラントはOsteonics 84人, Batemann 1人であり, 骨セメントは73人で使用した. 「結果」臨床成績は術後経過とともに歩行能が低下したが, 疼痛や可動性はほとんど変化しなかった. 新鮮骨折, 偽関節, 骨頭壊死に対する術後成績では差がなかった. 術後合併症としては脱臼が3人, 深部感染を2人認めたが, X線像で明らかな臼蓋のerosionは生じなかった. 63人で臥位と立位における内部/外部関節の動きを調べたところ, 各肢位とも外部関節での動きが優位ながら内部関節での動きも平均15~35%で見られ, その経時的な変化はほとんどなかった. 「考察」Bipolar型人工骨頭置換術によって臼蓋のerosionは見られず, 長期にわたりbipolar機構が維持されていた. 用いるインプラントはmonopolar型に比べ高価ではあるが, 術後安定した成績を期待できることから, 高齢者の大腿骨頸部骨折に対して有用である. |
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ISSN: | 0034-351X |