肺高血圧の治療

原発性肺高血圧症(primary pulmonary hypertension, PPH)は稀な疾患で, 明確な原因なく肺動脈圧が持続的に高値(平均肺動脈圧が安静時に25mmHg, 運動時には30mmHg以上)を示す状態を言う. 強皮症, HIV感染症, 肝疾患, ある種の食欲抑制薬の使用などが同様の病態を形成し, これらの疾患を全て押しなべて, PPHと共に肺動脈高血圧症(pulmonary arterial hypertension, PAH)と分類されている. 肺高血圧症の多くは進行性に右室不全を来たし, 早期に死に至る1). 10年前までは本症は急速に進行し診断後の平均余命は2.8年と...

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Published in心臓 Vol. 35; no. 9; pp. 657 - 661
Main Author 篠山重威
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 丸善 15.09.2003
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Summary:原発性肺高血圧症(primary pulmonary hypertension, PPH)は稀な疾患で, 明確な原因なく肺動脈圧が持続的に高値(平均肺動脈圧が安静時に25mmHg, 運動時には30mmHg以上)を示す状態を言う. 強皮症, HIV感染症, 肝疾患, ある種の食欲抑制薬の使用などが同様の病態を形成し, これらの疾患を全て押しなべて, PPHと共に肺動脈高血圧症(pulmonary arterial hypertension, PAH)と分類されている. 肺高血圧症の多くは進行性に右室不全を来たし, 早期に死に至る1). 10年前までは本症は急速に進行し診断後の平均余命は2.8年と言われていたが, プロスタサイクリンの導入によって最近では予後が著明に改善されて来た1)2). その他にも, 多くの新しい治療法が検討されている. 本誌に掲載された鈴木らの論文3)も, このテーマに関連した症例報告である. 以下にPPHの治療に関する最近の動向をまとめる.
ISSN:0586-4488