表面筋電図による筋張力推定法を用いた運動学習過程評価の試み

「目的」上肢における運動課題遂行時の学習効果を, 表面筋電図を用いて評価する方法を検討した. 「方法」脳卒中片麻痺患者1名と健常人1名を対象とした. 肘関節の屈曲伸展運動を課題とし, 画面上に示された約1Hzの正弦波を肘関節の角度計の出力で追跡させ, 1分ごとに運動軌道および上腕二頭筋と上腕三頭筋の表面筋電図を記録した. 表面筋電図から小池・川人による低域通過フィルタを用いて各筋の疑似張力を計算し, その経時変化を検討した. 「結果と考察」肘関節の屈伸運動の学習に進むにつれ, 上腕二頭筋と上腕三頭筋の筋電の減少, 各疑似張力の減少傾向を認めた. これは運動学習により筋活動の少ない効率の良い運動...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 35; no. 10; pp. 705 - 706
Main Authors 県弘子, 大田哲生, 道免和久, 大塚友吉, 小宗陽子, 千野直一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.10.1998
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Summary:「目的」上肢における運動課題遂行時の学習効果を, 表面筋電図を用いて評価する方法を検討した. 「方法」脳卒中片麻痺患者1名と健常人1名を対象とした. 肘関節の屈曲伸展運動を課題とし, 画面上に示された約1Hzの正弦波を肘関節の角度計の出力で追跡させ, 1分ごとに運動軌道および上腕二頭筋と上腕三頭筋の表面筋電図を記録した. 表面筋電図から小池・川人による低域通過フィルタを用いて各筋の疑似張力を計算し, その経時変化を検討した. 「結果と考察」肘関節の屈伸運動の学習に進むにつれ, 上腕二頭筋と上腕三頭筋の筋電の減少, 各疑似張力の減少傾向を認めた. これは運動学習により筋活動の少ない効率の良い運動が可能になったためと考えられた. 本法では, リアルタイムの筋張力を半定量的に推定できるため, 今後, 拮抗筋の同時収縮を抑制する運動療法や薬物療法などの効果判定への応力が可能と考えられた.
ISSN:0034-351X