カテーテル血栓吸引術が有効であった広範囲肺血栓塞栓症の1例

肺血栓塞栓症はわが国においても増加傾向にある. 今回, われわれはカテーテル血栓吸引術が有効であった肺血栓塞栓症の1例を経験した. 症例は61歳, 男性. 頸椎損傷による四肢不全麻痺で入院中であった. リハビリより帰室後突然の意識消失となり, 一時心肺停止の状態となった. 2分後に意識レベルの改善を認めたが, 呼吸苦とチアノーゼを認めた. 心エコーでは右室拡大, 心電図では右脚ブロックが見られ, 胸部造影CTスキャンでは左右主肺動脈に造影欠損を認め, 肺血栓塞栓症と診断した. 直ちにt-PAを投与したが, 酸素化不良で収縮期血圧70~80mmHgと循環虚脱によるショックであった. このため,...

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Published in心臓 Vol. 37; no. 7; pp. 588 - 592
Main Authors 木内信太郎, 内山隆史, 池田寿昭, 池田一美, 松下季美子, 名倉正利, 谷内仁, 黒木雄一, 鈴木香里, 永井義一, 山科章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心臓財団 15.07.2005
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ISSN0586-4488

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Summary:肺血栓塞栓症はわが国においても増加傾向にある. 今回, われわれはカテーテル血栓吸引術が有効であった肺血栓塞栓症の1例を経験した. 症例は61歳, 男性. 頸椎損傷による四肢不全麻痺で入院中であった. リハビリより帰室後突然の意識消失となり, 一時心肺停止の状態となった. 2分後に意識レベルの改善を認めたが, 呼吸苦とチアノーゼを認めた. 心エコーでは右室拡大, 心電図では右脚ブロックが見られ, 胸部造影CTスキャンでは左右主肺動脈に造影欠損を認め, 肺血栓塞栓症と診断した. 直ちにt-PAを投与したが, 酸素化不良で収縮期血圧70~80mmHgと循環虚脱によるショックであった. このため, 遷延するショックの改善には肺血流の早期再開通が必要と判断して, 冠動脈ラージルーメンカテーテルを用いて肺動脈血栓吸術を施行した. 赤色血栓が吸引され, 肺動脈圧は術前48/20(mean30)mmHgから22/11(mean14)mmHgに低下し, 第51病日に退院となった. カテーテル血栓吸引術が循環虚脱によるショックの離脱に有効であった広範囲肺血栓塞栓の1症例であり, 報告する.
ISSN:0586-4488