血小板製剤用白血球除去フィルターの血小板機能に及ぼす影響

目的:現在市販されている血小板製剤用白血球除去フィルターは構造や荷電の違いによりいくつかのタイプに分けられる. 今回我々は3社のフィルターを用い, 通過直後の血小板機能について比較検討を行ったので報告する. 方法:院内で採血した新鮮な血小板製剤5例について, A,B, C3社のフィルターを用い, 通過前及び, 通過後(5m1~25ml)の血小板数, 血小板粘着能, 血小板凝集能, pHを同時測定し, 一部の例では22℃保存日数の影響を検討した. 結果:1)A,B, C3社4種の同時フィルター通過実験が可能であった症例は, いずれも少量(5ml~25ml)通過後の血小板回収率(通過後血小板数/通...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 47; no. 1; p. 41
Main Authors 田中明美, 野原正信, 比嘉幸枝, 田中真典, 高嶋聡子, 丸高ゆう子, 柳田定子, 堂之上千奈美, 松田敏子, 比嘉智子, 中田浩一, 坂本久浩, 菊池亮
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.02.2001
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Summary:目的:現在市販されている血小板製剤用白血球除去フィルターは構造や荷電の違いによりいくつかのタイプに分けられる. 今回我々は3社のフィルターを用い, 通過直後の血小板機能について比較検討を行ったので報告する. 方法:院内で採血した新鮮な血小板製剤5例について, A,B, C3社のフィルターを用い, 通過前及び, 通過後(5m1~25ml)の血小板数, 血小板粘着能, 血小板凝集能, pHを同時測定し, 一部の例では22℃保存日数の影響を検討した. 結果:1)A,B, C3社4種の同時フィルター通過実験が可能であった症例は, いずれも少量(5ml~25ml)通過後の血小板回収率(通過後血小板数/通過前血小板数)は, A社中性荷電で最も劣り(0~22.2%), 継いでB社(12.5~94.5%), A社陰性荷電(32.2~95.7%), C社(82.6~100%)の順であった. 2)血小板機能(粘着能・凝集能)はA社, B社で低下, C社は維持されていた. 3)pHについては, A社陰性荷電でpHが低下したが, 他は通過前とほとんど変化なかった. 4)22℃保存日数の経過とともにフィルター通過後の血小板回収率は上昇し, 通過後PC血小板機能は著明に低下していた. 考察:各社フィルターは少量(~25ml)通過後の血小板回収率に明らかな差を認めた. 特にA社の中性荷電フィルターは著しい低下を示した. また, A社・B社では, 血小板機能が高い血小板がフィルターにトラップされ血小板機能の低下した血小板が通過していると推測された. C社は通過直後からともに維持されていた. 現在日赤では保存前白血球除去PCの製造の検討がされているが, 採血直後のPCは特に血小板機能が高いためフィルターの選択に十分な検討が必要と考える. また, 小児の少量血小板輸血においては高い血小板回収率と通過後PCの血小板機能が保持されるフィルターの選択が必要と思われた.
ISSN:0546-1448