血漿エンドセリン濃度と頸動脈プラークとの関連

はじめに エンドセリン1(ET-1)は, 1988年にブタの培養血管内皮細胞から単離されたペプチドホルモンである28). その後, ET-1は, in vitroで血管平滑筋細胞や線維芽細胞の増殖作用を有することが判明した13). また, ラットのバルーンカテーテルによる頸動脈損傷モデルで観察される内膜肥厚は, ET-1投与によって増悪するが10),ETA 受容体拮抗薬によって抑制される9). つまり, ET-1は, 動脈硬化巣の形成に関与することが示唆されている. 臨床研究では, 血漿ET-1濃度は, 動脈硬化性疾患患者で有意に高値であり, かつ動脈硬化の重症度と有意の正相関を示すことが報告...

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Published inNeurosonology Vol. 11; no. 4; pp. 183 - 187
Main Authors 南繁敏, 山野繁, 野村久美子, 山本雄太, 福井理恵, 高岡稔, 土肥和紘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経超音波学会 30.11.1998
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ISSN0917-074X

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Summary:はじめに エンドセリン1(ET-1)は, 1988年にブタの培養血管内皮細胞から単離されたペプチドホルモンである28). その後, ET-1は, in vitroで血管平滑筋細胞や線維芽細胞の増殖作用を有することが判明した13). また, ラットのバルーンカテーテルによる頸動脈損傷モデルで観察される内膜肥厚は, ET-1投与によって増悪するが10),ETA 受容体拮抗薬によって抑制される9). つまり, ET-1は, 動脈硬化巣の形成に関与することが示唆されている. 臨床研究では, 血漿ET-1濃度は, 動脈硬化性疾患患者で有意に高値であり, かつ動脈硬化の重症度と有意の正相関を示すことが報告されている17). そこで今回著者らは, 本態性高血圧患者での血漿ET-1濃度と超音波断層法による頸動脈プラークの性状との関連について検討した. 対象と方法 1. 対象 対象は, 平成6年8月から平成8年12月に町立大淀病院内科に通院中の患者のうち, 糖尿病および高脂血症を合併せず, 喫煙歴のないWHO病期分類I期またはII期の本態性高血圧症患者212例(HT群)である.
ISSN:0917-074X