心臓粘液腫の成因に関する分子病理学的検討
*目的 近年, 分子生物学の進歩に伴い多くの組織特異的転写因子がクローニングされ, その組織の発生, 分化にきわめて重要な役割を果たすことが知られるようになった. 心臓においてはNkx2. 5/Csx, eHAND, GATA-4, MEF2といった心臓特異的転写因子が報告され, 胎生期より心臓に限局して発現している. 心臓粘液腫は左心房中隔に発生する比較的まれな良性腫瘍であり, その発生起源として間葉系細胞由来と考えられているがいまだ明らかではない. 本研究では, 粘液腫組織におけるこれらの転写因子の発現を観察することにより, 心臓粘液腫の発生起源を考察した. *方法 1994年から2001...
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Published in | 心臓 Vol. 37; no. 12; pp. 1052 - 1053 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本心臓財団
15.12.2005
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ISSN | 0586-4488 |
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Summary: | *目的 近年, 分子生物学の進歩に伴い多くの組織特異的転写因子がクローニングされ, その組織の発生, 分化にきわめて重要な役割を果たすことが知られるようになった. 心臓においてはNkx2. 5/Csx, eHAND, GATA-4, MEF2といった心臓特異的転写因子が報告され, 胎生期より心臓に限局して発現している. 心臓粘液腫は左心房中隔に発生する比較的まれな良性腫瘍であり, その発生起源として間葉系細胞由来と考えられているがいまだ明らかではない. 本研究では, 粘液腫組織におけるこれらの転写因子の発現を観察することにより, 心臓粘液腫の発生起源を考察した. *方法 1994年から2001年までに東京都済生会中央病院で手術された, 心臓粘液腫5例, 心臓肉腫1例において検討を行った(表). 1. 免疫染色法(電子顕微鏡) GATA-4, MEF2, eHAND, Nkx2.5/Csxに対する一次抗体は米国Santa Cruz社より購入した. 免疫染色法により心臓特異的転写因子を発現する腫瘍細胞の発現部位, 局在をHE染色された病理組織, 電子顕微鏡所見と比較検討した. 2. in situ hybridization法 Nkx2. 5/Csx, eHANDに対するビオチン標識されたオリゴプローブを作成した. 検出はDAKO GenPoint Systemを使用した. 3. Nested RT-PCR法 過去数年間の, 保存されているホルマリン固定されたパラフィン切片より腫瘍部分を採取し, mRNAを抽出した. first roundおよびsecond round PCRのtarget bpを500bp以下としたnested RT-PCRを行った. |
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ISSN: | 0586-4488 |