ヒトパルボウイルスB19DNA陽性献血者血清のin vitroでの感染性の検討

【目的】血液センターでは凝集法(RHA法)によるヒトパルボウイルスB19(以下B19)のスクリーニングを実施しているが, RHA法ではB19DNA陽性検体を完全に排除できないという問題がある. 今回, CFU-E(colony forming unit-erythroid)傷害試験を用い, B19DNA陽性献血者血清のin vitroにおける感染性について検討したので報告する. 【材料】(1)B19DNA陽性献血者血清31例B19抗体検査の結果により以下のように分類した. Aグループ:RHA(+), IgM(-), IgG(-)10例 Bグループ:RHA(-), IgM(+), IgG(-)1...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 45; no. 2; p. 237
Main Authors 丹羽尋美, 加茂直樹, 伊原弘美, 佐藤進一郎, 加藤俊明, 池田久實, 関口定美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.04.1999
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ISSN0546-1448

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Summary:【目的】血液センターでは凝集法(RHA法)によるヒトパルボウイルスB19(以下B19)のスクリーニングを実施しているが, RHA法ではB19DNA陽性検体を完全に排除できないという問題がある. 今回, CFU-E(colony forming unit-erythroid)傷害試験を用い, B19DNA陽性献血者血清のin vitroにおける感染性について検討したので報告する. 【材料】(1)B19DNA陽性献血者血清31例B19抗体検査の結果により以下のように分類した. Aグループ:RHA(+), IgM(-), IgG(-)10例 Bグループ:RHA(-), IgM(+), IgG(-)10例 Cグループ:RHA(-), IgM(+), IgG(+)4例 Dグループ:RHA(-), IgM(-), IgG(+)7例 (2)B19セロコンバージョンパネル3例 【方法】(1)CD34陽性細胞の培養:末梢血から純化したCD34陽性細胞をSCF, Epo, iL-3を含むα-MEM培地中で7日間培養してCFU-Eを誘導した. (2)CFU-E傷害試験:培養したCFU-EにB19DNA陽性および陰性血清をそれぞれ添加, インキュベート後colony-assayを行い, CFU-E傷害率を算出した. 【結果及び考察】B19DNA陽性献血者血清31例におけるCFU-E傷害率は, Aグループで60~95%と高く, Bグループでも20~40%と低い傾向であるが傷害活性が認められた. しかし, C, Dグループ並びに陰性対照血清における傷害率は, 10%以下を示した. また, B19セロコンバージョンパネル3例を用いた検討においても, RHA(-), B19DNA(+), IgM(+), IgG(-)時期の検体では, 30%程度のCFU-E傷害率が認められ, その後, IgG抗体産生時期に一致して, 10%前後まで低下した. 以上の結果より, B19のin vitro感染性はIgM抗体産生時期まで存在し, IgG抗体の産生に伴い, in vitro感染性は消失することが示唆された.
ISSN:0546-1448