骨髄移植後白血病再発症例に対するドナー白血球輸注(DLT)の試み

症例1:同種骨髄移植後4年目にcytogenetic relapseを認めた46歳のCML女性. 骨髄ドナーから, 2.47×10^8 個/kgのbuffy coatを輸注したところ, 70日目頃にはPh^1 染色体は消失し, 同じ頃より慢性GVHDの合併を認めた. 以後, シクロスポリンによりGVHDはコントロールされ, 化学療法を必要とせず寛解を維持している. 症例2:同種骨髄移植後5ヵ月目にhematologic relapseを認めた47歳のALL男性. 入院当初より全身性水痘の合併を認めたため, 化学療法は行なわず骨髄ドナーからのbuffy coat輸注を施行した. 白血病細胞も含め...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 41; no. 1; p. 98
Main Authors 上田幹夫, 中尾真二, 伊藤高明, 山崎宏人, 高見昭良, 高松秀行, 塩原信太郎, 松田保
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.03.1995
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ISSN0546-1448

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Summary:症例1:同種骨髄移植後4年目にcytogenetic relapseを認めた46歳のCML女性. 骨髄ドナーから, 2.47×10^8 個/kgのbuffy coatを輸注したところ, 70日目頃にはPh^1 染色体は消失し, 同じ頃より慢性GVHDの合併を認めた. 以後, シクロスポリンによりGVHDはコントロールされ, 化学療法を必要とせず寛解を維持している. 症例2:同種骨髄移植後5ヵ月目にhematologic relapseを認めた47歳のALL男性. 入院当初より全身性水痘の合併を認めたため, 化学療法は行なわず骨髄ドナーからのbuffy coat輸注を施行した. 白血病細胞も含めて血球の減少を認めたが, 寛解には至らなかった. 全身性の急性皮膚GVHDを合併したが, ステロイド投与により改善した. まとめ:CML再発に対するDLTの効果を確認した. 慢性GVHDが出現する以前からPh^1 クローンは減少し, この効果は, GVHD担当細胞以外の細胞による可能性がある. ALLに対するcytoreducive effectも認められたが, 十分とは言えなかった.
ISSN:0546-1448