献血者におけるCytomegalovirus(CMV)血清抗体価の測定

目的:最近, 新生児や免疫不全患者あるいは免疫抑制療法を受けている患者の輸血後CMV感染が重要視されているが, これらの感染を防ぐ為, 外国ではすでにCMV-Abスクリーニングを行い必要に応じた供給体制をとっている所もあり, 我国においてもその必要性が高まってきている. そこで今回我々はIAHA法(免疫粘着凝集反応)を用い性・年齢別によるCMV-Ab価の測定. IAHA値とCF(補体結合反応)値とを比較し, CMV-Abスクリーニングの実用性について検討を行ったので報告する. 対象:16~63歳の, 男女献血者1,856例, 及び10歳以下の小児患者138例. 結果:IAHA値はCF値に比べ2...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 31; no. 1; p. 98
Main Authors 佐藤淳子, 尾崎重忠, 本田盈, 前田良一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.03.1985
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ISSN0546-1448

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Summary:目的:最近, 新生児や免疫不全患者あるいは免疫抑制療法を受けている患者の輸血後CMV感染が重要視されているが, これらの感染を防ぐ為, 外国ではすでにCMV-Abスクリーニングを行い必要に応じた供給体制をとっている所もあり, 我国においてもその必要性が高まってきている. そこで今回我々はIAHA法(免疫粘着凝集反応)を用い性・年齢別によるCMV-Ab価の測定. IAHA値とCF(補体結合反応)値とを比較し, CMV-Abスクリーニングの実用性について検討を行ったので報告する. 対象:16~63歳の, 男女献血者1,856例, 及び10歳以下の小児患者138例. 結果:IAHA値はCF値に比べ2~3管高値を示しIAHA法陽性でCF法陰性のものは14%であった. またCMV-Ab陽性率は年齢と共に増加し, 総体的には性別による有意差は認められなかった. 献血者のCMV-Ab陽性率は10代男性が最低で68.2%, 30代以上では男女とも90%以上であった. 小児患者のCMV-Ab陽性率は生後3ヵ月位までは母親由来抗体のIgGとオーバーラップし高値を示したが6~9ヵ月の乳児では0%で10ヵ月頃より血清中の抗体は陽性化し始め1歳までの陽性率は46.3%であった. また抗体価も年齢と共に増加する傾向を示した. またIAHA法は, PTT処理による抗体価の変動からIgG抗体ばかりでなくIgM抗体も検出しているものと推定する. まとめ:1歳までの小児患者のCMV-Ab陽性率は46.3%であり残り半分の幼児, 特に6~9ヵ月の乳児にはCMV-Ab陰性血の使用が望まれ, 陰性血を見つけ出すことは10代男性献血者で最も効果があると思われる.
ISSN:0546-1448