下肢多関節手術を施行した慢性関節リウマチ患者のADLの検討

千葉リハビリテーションセンターで3関節以上の下肢多関節手術(股関節, 膝関節)を施行した慢性関節リウマチ患者15例についてADL調査を行った. リウマチ発病から初回手術までは平均13.6年であり, その後3および4関節手術終了までは平均5.3年だった. 最終手術から調査時までは平均4.1年だった. 上肢に関するADLは食事が良好であるものの, 整容, 更衣, シャワーは低下していた. また多関節手術により移乗動作, トイレ動作は良好に保たれていた. 術前歩行していた症例では, 多関節手術後も下肢ADLは比較的良好に保たれていた. しかし術前歩行していない症例では, 多関節手術により下肢ADLは...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 32; no. 12; p. 893
Main Authors 鈴木昌彦, 村田忠雄, 李泰鉉, 野平勲一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.12.1995
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Summary:千葉リハビリテーションセンターで3関節以上の下肢多関節手術(股関節, 膝関節)を施行した慢性関節リウマチ患者15例についてADL調査を行った. リウマチ発病から初回手術までは平均13.6年であり, その後3および4関節手術終了までは平均5.3年だった. 最終手術から調査時までは平均4.1年だった. 上肢に関するADLは食事が良好であるものの, 整容, 更衣, シャワーは低下していた. また多関節手術により移乗動作, トイレ動作は良好に保たれていた. 術前歩行していた症例では, 多関節手術後も下肢ADLは比較的良好に保たれていた. しかし術前歩行していない症例では, 多関節手術により下肢ADLは改善するものの, 退院後1~2年の経過で移動能力が低下する傾向にあった. 高齢になるほどこの傾向は顕著だった. 3関節手術と4関節手術では獲得できる移動能力に大きな差がみられないことから, 3関節手術をADL獲得の1つの目安と考える. 外来受診時, すでに多関節手術が必要な症例は単に早期離床を目的として手術をするだけでなく, 家族を含めた十分な生活指導が必要だった.
ISSN:0034-351X