脳血管障害患者に関する睡眠時無呼吸の検討
【目的】慢性期脳血管障害に関し, 睡眠時の呼吸状態が, 予後に重要な因子であると思われる. しかし, 呼吸中枢が位置する脳幹部以外の脳血管障害と睡眠時無呼吸との関係の報告はほとんどなく, 今回その検討を行った. 【対象および方法】体重が肥満度±20%以内で, 重篤な合併症を認めないものである. 発症6か月以上を経過した, 画像上, 大脳障害のみで, 脳幹部は正常である, 慢性期患者30例(男20例, 女10例, 平均年齢64.9歳, 脳出血14例, 脳梗塞14例, くも膜下出血2例)を, またコントロールとして脳血管障害を認めない38例(男21例, 女17例, 平均年齢63.1歳)を対象とした...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 28; no. 11; p. 874 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
01.11.1991
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Summary: | 【目的】慢性期脳血管障害に関し, 睡眠時の呼吸状態が, 予後に重要な因子であると思われる. しかし, 呼吸中枢が位置する脳幹部以外の脳血管障害と睡眠時無呼吸との関係の報告はほとんどなく, 今回その検討を行った. 【対象および方法】体重が肥満度±20%以内で, 重篤な合併症を認めないものである. 発症6か月以上を経過した, 画像上, 大脳障害のみで, 脳幹部は正常である, 慢性期患者30例(男20例, 女10例, 平均年齢64.9歳, 脳出血14例, 脳梗塞14例, くも膜下出血2例)を, またコントロールとして脳血管障害を認めない38例(男21例, 女17例, 平均年齢63.1歳)を対象とした. Apnomonitor MAY-715(Chest社製)にて睡眠時呼吸状態を測定した. 7時間以上の睡眠中, 10秒以上持続した呼吸停止が, 1時間あたりの回数5以上を睡眠時無呼吸(異常), 5未満を正常とした. 【結果】脳血管障害患者のうち, 男40%(8/20), 女30%(3/10), 総計37%(11/30), また60歳未満13%(1/8), 60歳以上45%(10/22)に無呼吸を呈した. さらに男性高齢者に異常高値例(最高55.8)が多発した. なおコントロール例は男10%(2/21), 女6%(1/17), 総計8%(3/38)であった. 【まとめ】脳血管障害患者に, 睡眠時無呼吸が多発し, 男性高齢者に重症例が目立った. 睡眠時無呼吸がリハビリにおよびQOLに影響するので, 同疾患治療上, 睡眠中の呼吸状態を把握することが肝要と思われた. <質疑応答> 佐藤徳太郎(東北大):いびきなどを指標としてみて, 脳卒中発症前の無呼吸の頻度はどうでしたか. |
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ISSN: | 0034-351X |