長期保存MAP加濃厚赤血球の臨床評価に関する多施設共同研究

[目的]慢性骨髄機能不全貧血患者を対象として, 35~42日間保存したMAP加濃厚赤血球(MAP-CRC)の有効性を確認するため, 多施設共同臨床評価を実施した. 同一患者にMAP-CRCと従来の14~21日間保存濃厚赤血球(CRC)を投与し, 輸血後赤血球回収率を比較したところ, 統計学的に有意差はなかった. また, 副作用面でも問題のないことが明かとなったので報告する. [方法](1)MAP-CRCはACD-4連バッグ(テルモ, カワスミ, JMS, ニッショー製)を用い, 中央または京都血液センターで製造し, 4~6℃に35~42日間保存した. MAP-CRCおよび対照として従来法で製造...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 37; no. 2; p. 251
Main Authors 清水勝, 藤井寿一, 溝口秀昭, 増田道彦, 外山圭助, 吉川治, 川西慶一, 藤巻道男, 新井盛夫, 半田誠, 月本一郎, 重田勝義, 馬場真澄, 伊藤武義, 鶴岡延熹, 日野研一郎, 寺田秀夫, 武藤良知, 柴田洋一, 高本滋, 菊池正夫, 森真由美, 平井真希子, 藤井浩, 中川雅夫, 辻肇, 辻俊三, 松本昇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.03.1991
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Summary:[目的]慢性骨髄機能不全貧血患者を対象として, 35~42日間保存したMAP加濃厚赤血球(MAP-CRC)の有効性を確認するため, 多施設共同臨床評価を実施した. 同一患者にMAP-CRCと従来の14~21日間保存濃厚赤血球(CRC)を投与し, 輸血後赤血球回収率を比較したところ, 統計学的に有意差はなかった. また, 副作用面でも問題のないことが明かとなったので報告する. [方法](1)MAP-CRCはACD-4連バッグ(テルモ, カワスミ, JMS, ニッショー製)を用い, 中央または京都血液センターで製造し, 4~6℃に35~42日間保存した. MAP-CRCおよび対照として従来法で製造した14~21日間保存したCRCを輸血した. (2)投与量および投与方法は400ml由来MAP-CRCまたは従来のCRC1袋(2単位)を通常輸血した. (3)集計対象患者数は, 再生不良性貧血13名, MDS9名, その他18名の計40名であった. (4)評価は患者の身長と体重から小川・藤田の式により循環血液量を求め, 輸血後のヘモグロビン値の増大から輸血効果を判定した. 輸血に際し白血球除去フィルターを使用した場合, フィルターによる赤血球回収率(MAP-CRC, 87%;CRC, 92%)を用い補正した. [結果](1)輸血に用いられたMAP-CRCの平均保存日数は38.1日(n=56), CRCのそれは18.1日(n=27)であった. (2)輸血1日後の赤血球回収率はMAP-CRC, 76.0%(n=48), CRC, 80.0%(n=23)であった. 尚, 健常人による保存MAP-CRCおよびCRCの輸血1日後の赤血球回収率はMAP-CRC(42日保存)81.8%, CRC(21日保存)では83.1%である. (3)輸血による副作用の報告はMAP-CRCおよび従来のCRCともなかった. [結論]以上のことから, 42日間液状保存したMAP-CRCは充分に輸血効果があること, および副作用のないことが明かとなった. このことから液状保存による自己血輸血への使用もできる.
ISSN:0546-1448