頸部食道癌根治手術中の気管膜様部損傷に対する一工夫

気管膜様部に浸潤した頸部食道癌に対して喉頭, 気管合併切除, 食道全摘, 胸骨後経路による咽頭胃管吻合, 永久気管瘻による気道再建を予定したが, 術中に気管膜様部のほぼ全長にわたる縦方向の損傷を起こした67歳, 男性の気管修復の際の工夫を報告. 損傷部を4-0マクソン糸の結節縫合で修復し, 大胸筋で気管周囲を被覆した. これにより縫合不全を予防し, また, 周囲大血管と気管との隔壁とした. そして, 永久気管瘻部分の気管を煙突の如くに約2.5cm皮膚より突出させ, この部分に人工呼吸器を装着することにより, 気管チューブのカフ内圧から膜様部縫合不全をおこしても, 同部から縦隔に炎症が拡大するこ...

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Published in気管支学 Vol. 22; no. 2; p. 147
Main Authors 長坂不二夫, 大森一光, 北村一雄, 並木義夫, 村松高, 羽賀直樹, 河野秀雄, 知久信明, 根岸七雄, 瀬在幸安
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本気管支学会 25.03.2000
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Summary:気管膜様部に浸潤した頸部食道癌に対して喉頭, 気管合併切除, 食道全摘, 胸骨後経路による咽頭胃管吻合, 永久気管瘻による気道再建を予定したが, 術中に気管膜様部のほぼ全長にわたる縦方向の損傷を起こした67歳, 男性の気管修復の際の工夫を報告. 損傷部を4-0マクソン糸の結節縫合で修復し, 大胸筋で気管周囲を被覆した. これにより縫合不全を予防し, また, 周囲大血管と気管との隔壁とした. そして, 永久気管瘻部分の気管を煙突の如くに約2.5cm皮膚より突出させ, この部分に人工呼吸器を装着することにより, 気管チューブのカフ内圧から膜様部縫合不全をおこしても, 同部から縦隔に炎症が拡大することを回避することができた.
ISSN:0287-2137