下顎枝矢状分割術前後における咬合機能の変化
下顎枝矢状分割術においてrigid fixationを行った症例の術後安定性の獲得には, 近位骨片の正確な復位が重要であると考えられ, そのための近位骨片復位装置としてわれわれはいくつかのシステムを考案し, その使用経験ならびに術後変化について報告してきた. 今回われわれは, 下顎枝矢状分割術を行った患者の咬合機能を評価するために, 咬合圧感圧シート(Dental Prescale(R))を用いて術前ならびに術後の咬合面積, 平均圧力, 咬合力を測定しその経時的変化を比較検討した. 対象は, 術前矯正の終了した下顎前突症例で, 下顎枝矢状分割術においてscrew固定を行った症例のうち, 術後6...
Saved in:
Published in | 日本顎変形症学会雑誌 Vol. 8; no. 2; p. 73 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本顎変形症学会
15.08.1998
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0916-7048 |
Cover
Summary: | 下顎枝矢状分割術においてrigid fixationを行った症例の術後安定性の獲得には, 近位骨片の正確な復位が重要であると考えられ, そのための近位骨片復位装置としてわれわれはいくつかのシステムを考案し, その使用経験ならびに術後変化について報告してきた. 今回われわれは, 下顎枝矢状分割術を行った患者の咬合機能を評価するために, 咬合圧感圧シート(Dental Prescale(R))を用いて術前ならびに術後の咬合面積, 平均圧力, 咬合力を測定しその経時的変化を比較検討した. 対象は, 術前矯正の終了した下顎前突症例で, 下顎枝矢状分割術においてscrew固定を行った症例のうち, 術後6ヵ月以上の予後調査を行うことのできた20例(男:7例, 女:13例)とした. 咬合力は, 術後2週で術前の約25%まで低下するが, 術後8週あるいは3ヵ月までの間に術前のレベルに達し, その後は徐々に術前の値よりも増大していく傾向がみられた. 平均後方移動量の大(平均10.5mm)と小(平均6.5mm)の2群で比較すると, 移動量の小さい群よりも移動量の大きい群の方で, 術前のレベルまでの増加が早い傾向がみられた. 健常者と比較すると, 顎変形症患者の値は, 術前および術後6ヵ月の時点でも約45%と低いことが示された. 今後は, 長期予後における顎変形症患者と健常者との比較検討が必要であると考えられた. 質問 福井医大, 歯, 口外 小笠原利行 術後の咬合接触面積の変化は, 術後の顎間ゴム牽引の力や期間により左右されると思いますが, どのように規定されていますか. また, Prescaleの結果は, 顎間ゴム解除の時期決定に際し参考にされていますか. 回答 東医歯大, 歯, 2口外 渡邊真喜子 術後の顎間ゴム索引は中程度のゴムリングを左右1本ずつ掛け, 術中に決めた咬合関係を再現させる目的で行っております. 期間は症例ごとに違いがみられますが, 術後3ヵ月程度行っております. 追加 福岡歯大, 矯正 松本光生 術後の骨および軟組織の治癒過程を術後の咬合力の経時的な変化のみで判断することは困難と思われた. |
---|---|
ISSN: | 0916-7048 |