人工股関節置換術におけるクリティカル・パスに関するアンケート調査

近年, 医療業務の効率化・均一化や信頼性のあるチーム医療を目的としてクリティカル・パスの導入が試みられてきている. 当院でも人工股関節置換術について1999年1月から準備を始めて試用期間をおいた後, 7月から本格的に運営を始めている. 今回, クリティカル・パス導入の効果と問題点を調査する目的でアンケート調査を行ったので報告する. 「方法」クリティカル・パスに参加するメンバーである医師, 理学療法士, 看護婦に対してアンケートを作成した. クリティカル・パス導入前後に業務に携わっていた医師11名, 理学療法士9名, 看護婦19名から回答を得た. 「結果」クリティカル・パス実施前後では手術から退...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inリハビリテーション医学 Vol. 37; no. 12; pp. 993 - 996
Main Authors 大橋弘嗣, 小池達也, 格谷義徳, 山野慶樹, 古谷逸夫, 今久保伸二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.12.2000
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:近年, 医療業務の効率化・均一化や信頼性のあるチーム医療を目的としてクリティカル・パスの導入が試みられてきている. 当院でも人工股関節置換術について1999年1月から準備を始めて試用期間をおいた後, 7月から本格的に運営を始めている. 今回, クリティカル・パス導入の効果と問題点を調査する目的でアンケート調査を行ったので報告する. 「方法」クリティカル・パスに参加するメンバーである医師, 理学療法士, 看護婦に対してアンケートを作成した. クリティカル・パス導入前後に業務に携わっていた医師11名, 理学療法士9名, 看護婦19名から回答を得た. 「結果」クリティカル・パス実施前後では手術から退院までの期間が実施前平均50.9日が実施後平均34.4日と有意に短縮していた. アンケート調査では, 導入により自分の業務が楽になったと答えたのは, 医師で45%, 看護婦では89%であったが, 理学療法士では11%であった. 具体的には医師, 理学療法士, 看護婦間の連絡が減り, 患者への説明もしやすくなっていた. 一方, 患者の個別性が無視されたり, 患者の状態に応じたメニューの変更がなされていないなどの問題点が明らかとなった. 「考察」クリティカル・パスの導入により医師, 理学療法士, 看護婦間のコミュニケーションがスムーズになり医療業務が円滑になったとともに, 患者へのインフォームド・コンセントとしての役割も果たしていると考えられた. しかし, クリティカル・パスをさらに柔軟に運営することが必要であり, 今後改良を加えながら続けていきたい.
ISSN:0034-351X