無酸素脳症後の重度歩行障害に足部機能再建術が奏効した1症例
今回我々は, 無酸素脳症後, 歩行不能であった患者に足部機能再建術を施行し, 屋内伝い歩きが可能となった症例を経験したので報告する. 「症例」23歳女性, 気管支喘息重責発作により呼吸停止を起こした. 蘇生後, 無酸素脳症となり, 四肢不全麻痺に著明な両足関節内反尖足(金属支柱付き短下肢装具で矯正困難), 股関節内旋変形が生じた. 発症2年6ヵ月後, 尖足改善のため両側腓腹筋末梢腱膜解離術を受けたが歩行は不能のままであった. 以後在宅でリハビリテーションを継続していたが尖足が再発し, 発症3年6ヵ月後, リハ目的で入院. 「入院時現症」痙性四肢麻痺. 両足関節内反尖足は短下肢装具で矯正可能....
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 37; no. 12; p. 1070 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
18.12.2000
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ISSN | 0034-351X |
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Summary: | 今回我々は, 無酸素脳症後, 歩行不能であった患者に足部機能再建術を施行し, 屋内伝い歩きが可能となった症例を経験したので報告する. 「症例」23歳女性, 気管支喘息重責発作により呼吸停止を起こした. 蘇生後, 無酸素脳症となり, 四肢不全麻痺に著明な両足関節内反尖足(金属支柱付き短下肢装具で矯正困難), 股関節内旋変形が生じた. 発症2年6ヵ月後, 尖足改善のため両側腓腹筋末梢腱膜解離術を受けたが歩行は不能のままであった. 以後在宅でリハビリテーションを継続していたが尖足が再発し, 発症3年6ヵ月後, リハ目的で入院. 「入院時現症」痙性四肢麻痺. 両足関節内反尖足は短下肢装具で矯正可能. 歩行時には著しい両股関節内旋と内転, 動作時ミオクローヌス(Lance-Adams Syndrome)が加わって, はさみ歩行, 粗大な動作, バランス不良となり, 後方よりの重介助歩行であった. 移動は基本動作より全介助, ADLも全介助を要した. 「経過」歩行訓練時の介助量軽減を目的に, 両側White法によるアキレス腱延長, 後脛骨筋腱外側移行, 長指屈筋腱切離術を施行した. 術後, 内反尖足だけでなく, 予測しなかった股関節の内旋内転の改善が得られ, 在宅リハを継続した結果, 術後1年5ヵ月現在, 下肢装具は不要となり, 裸足での屋内伝い歩きが近位監視で可能なまでに改善した. トイレ歩行が自力で行え, 乗馬も近位監視で可能となり, 介助量軽減, QOL向上が得られた. |
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ISSN: | 0034-351X |