二分脊椎患児に対する歩行分析
従来, 歩行分析の対象患者としては脳性麻痺, 脳卒中などの痙性麻痺疾患患者が主であり, 弛緩性麻痺患者を対象とした報告は少ない. また, 小児二分脊椎患者は療育施設において, その数が脳性麻痺患者と比較してかなり少ないため訓練等でも痙性麻痺疾患と同様の扱いを受ける場合がある. 痙性麻痺と弛緩性麻痺はまったく異なる病態であり, 装着する装具, 訓練方法などを別に考慮する必要があり, 今回はその歩容について解析を行い, その手がかりとすることを目的とした. 対象は杖なしで歩行可能な二分脊椎患児10名(5~13歳, 平均9.8歳)と比較対照として健常人, 脳性麻痺患者を用い, Kistler社製大型...
Saved in:
Published in | リハビリテーション医学 Vol. 33; no. 11; p. 801 |
---|---|
Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
18.11.1996
|
Online Access | Get full text |
Cover
Loading…
Summary: | 従来, 歩行分析の対象患者としては脳性麻痺, 脳卒中などの痙性麻痺疾患患者が主であり, 弛緩性麻痺患者を対象とした報告は少ない. また, 小児二分脊椎患者は療育施設において, その数が脳性麻痺患者と比較してかなり少ないため訓練等でも痙性麻痺疾患と同様の扱いを受ける場合がある. 痙性麻痺と弛緩性麻痺はまったく異なる病態であり, 装着する装具, 訓練方法などを別に考慮する必要があり, 今回はその歩容について解析を行い, その手がかりとすることを目的とした. 対象は杖なしで歩行可能な二分脊椎患児10名(5~13歳, 平均9.8歳)と比較対照として健常人, 脳性麻痺患者を用い, Kistler社製大型床反力計を用いて歩行時の床反力, および体重心の動きを計測した. その結果, 床反力波形からはショックアブソーバーとしての足部の機能の低下や, 下腿三頭筋の麻痺による影響がみられるものの, 脳性麻痺患者とは異なり体重心の移動はスムーズであり, 動揺も少なく全身的にみれば十分に代償機能が働いていることを示した. 二分脊椎患者はその障害レベルより上位の運動機能はほぼ正常であるため代償機能は大きい. そのため足部の筋力がなくても簡単な装具で歩行可能となることが多い. 装着する装具も痙性がないためプラスチックの軽い装具で十分であると思われるが, 足関節の背屈制限をする必要があるため装具に補助ベルトなどの改良を加える必要がある. |
---|---|
ISSN: | 0034-351X |