脳深部刺激療法が有効であった難治性不随意運動の1例

症例は34歳, 男性. 生下時に仮死状態であった. 3歳頃から不随意運動が出現し, 徐々に増悪した. 13歳頃から右上肢, 20歳頃から左上肢, 25歳頃から顔面に不随意運動が出るようになった. 他医にて薬物療法, 高圧酸素療法などを受けていたが効果なく, 31歳時に当科受診した. 初診時, 数秒に1回の割合で, 左側優位に両上肢の大胸筋を中心とする不随意運動を認めた. 書字は不随意運動のため著しく困難であった. 当科にて計6回入院し, 大胸筋などにフェノールおよびエタノールでブロックを行ったが, 効果は一時的であり, 根治には至らなかった. 平成13年3月日本大学脳神経外科にて両側視床Vim...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 38; no. 10; p. 853
Main Authors 秦誠宏, 中馬孝容, 生駒一憲, 新名直樹, 松尾雄一郎, 後藤裕美子, 眞野行生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.10.2001
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ISSN0034-351X

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Summary:症例は34歳, 男性. 生下時に仮死状態であった. 3歳頃から不随意運動が出現し, 徐々に増悪した. 13歳頃から右上肢, 20歳頃から左上肢, 25歳頃から顔面に不随意運動が出るようになった. 他医にて薬物療法, 高圧酸素療法などを受けていたが効果なく, 31歳時に当科受診した. 初診時, 数秒に1回の割合で, 左側優位に両上肢の大胸筋を中心とする不随意運動を認めた. 書字は不随意運動のため著しく困難であった. 当科にて計6回入院し, 大胸筋などにフェノールおよびエタノールでブロックを行ったが, 効果は一時的であり, 根治には至らなかった. 平成13年3月日本大学脳神経外科にて両側視床Vim核に対し脳深部刺激療法を受けた. 刺激強度右1.4V, 左1.7V, 刺激時間210μsec, 頻度130Hzの高頻度連続刺激にて, 両上肢の不随意運動は軽減した. 術後は不随意運動は特定に肢位をとったときのみに出現し, また術前5種類多量に服用していた薬は術後2種類少量のみとなっている. 不随意運動と脳深部刺激療法について若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0034-351X