頸髄損傷患者の肺活量
「目的」通常のリハビリテーション(以下, リハ)訓練がどの程度肺活量(以下VC)へ影響するかを検討するために頸髄損傷患者(以下, 頸損)におけるVCの変化について調べた. 「対象と方法」平成元~9年の間に当院に入院した頸損92名のうち複数回VCを測定できた55名. 平均年齢は47.0(15~77)歳. 受傷後より入院までの期間は0~49ヵ月. VCはスパイロメーターを用いて坐位で測定した. 腹帯コルセットは受傷後比較的早期, あるいは起立性低血圧症状を有する症例で使用した. 統計学的処理は対応のあるt検定, およびピアソン, スピアマン順位相関係数の検定を用いた. 「結果」1)完全頸損(以下C...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 35; no. 12; p. 977 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
18.12.1998
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ISSN | 0034-351X |
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Summary: | 「目的」通常のリハビリテーション(以下, リハ)訓練がどの程度肺活量(以下VC)へ影響するかを検討するために頸髄損傷患者(以下, 頸損)におけるVCの変化について調べた. 「対象と方法」平成元~9年の間に当院に入院した頸損92名のうち複数回VCを測定できた55名. 平均年齢は47.0(15~77)歳. 受傷後より入院までの期間は0~49ヵ月. VCはスパイロメーターを用いて坐位で測定した. 腹帯コルセットは受傷後比較的早期, あるいは起立性低血圧症状を有する症例で使用した. 統計学的処理は対応のあるt検定, およびピアソン, スピアマン順位相関係数の検定を用いた. 「結果」1)完全頸損(以下C)では入院当初の値より徐々にVCが増加した. 不全頸損(以下IC)では, Cと同様に徐々にVCが増加する群とVCに変化のない群に分かれた. 2)C,ICともに初回測定時(C:1,744±692ml,IC:2,218±862ml)に比較して入院中最大時(C:2,272±747ml,IC:2,846±800ml), 最終測定時(C:2,035±718ml,IC:2,610±767ml)は有意に増加していた. 3)VCと年齢および損傷レベルとの間には相関関係が認められた. 「考察」頸損ではVC測定時に吸気時の僧帽筋, 胸鎖乳突筋など呼吸補助筋の筋活動が著しいのに加えて, 呼気時にもこれら呼吸補助筋の筋活動が増加しており, 入院中に徐々にVCが増加した根拠としてリハ訓練に対する横隔膜, 吸気補助筋など残存筋の筋力増強効果が重要と考えられる. 「結論」通常のリハ訓練により頸損でもVCの増加が期待できる. |
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ISSN: | 0034-351X |