血小板の生化学的変動について
濃縮血小板血漿の有効期院延長に伴う品質管理を目的として, 保存中の生化学的変動についてアンモニア蓄積量, ブドウ糖消費量, 乳酸蓄積量及びpHを10度と室温において経時的に測定し, その変化を検討した. 抗凝固剤はACD-A液及びCPD液を用い, 濃縮血小板血漿PCと乏血小板血漿PPPとに分離後, 静止状態で保存した. アンモニア蓄積量(藤井・奥田法変法):ACD室温保存PCは調製時128μg/dlで24時間後3.2倍, 72時間後5.3倍に上昇, 低温保存では72時間値1.8倍にとどまった. CPD室温保存PCは24時間後3.6倍, 72時間後5.2倍, 低温保存では72時間後2.5倍であっ...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 29; no. 6; p. 715 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
1984
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ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | 濃縮血小板血漿の有効期院延長に伴う品質管理を目的として, 保存中の生化学的変動についてアンモニア蓄積量, ブドウ糖消費量, 乳酸蓄積量及びpHを10度と室温において経時的に測定し, その変化を検討した. 抗凝固剤はACD-A液及びCPD液を用い, 濃縮血小板血漿PCと乏血小板血漿PPPとに分離後, 静止状態で保存した. アンモニア蓄積量(藤井・奥田法変法):ACD室温保存PCは調製時128μg/dlで24時間後3.2倍, 72時間後5.3倍に上昇, 低温保存では72時間値1.8倍にとどまった. CPD室温保存PCは24時間後3.6倍, 72時間後5.2倍, 低温保存では72時間後2.5倍であった. 又PPPではACD, CPD共に室温, 低温保存でわずかな変動であった. ブドウ糖消費量(ムタロターゼGOD法):ACD室温保存PCは, 392mg/dlから72時間後139mg/dlまで約65%減少し, CPD室温保存PCでは約22%の減少であった. しかし低温保存PC及び室温・低温保存PPPに有意差はみられない. 乳酸蓄積量(UV法):ACD室温保存PCは72時間後4.7倍, 低温保存では2倍, CPD室温保存PCは72時間後3.9倍, 低温保存では2.1倍であった. 又PPPは両者共に室温・低温保存でわずかな変動にすぎなかった. pH(日立F7LC形pHメーター):ACD室温保存PCは7.2から6.1まで, CPDでは7.6から6.7まで累進的低下がみられ, 低温保存PCはわずかな変化が, PPPでは温度差に関係なく上昇がみられた. 又CPD調製のPC凝集能(コラーゲン1.9mg/ml, ADP2×10^-4 M)は, 室温保存の方が低温保存よりもやや凝集能は悪くなっている. 以上の検討から, 物質代謝の面では低温保存の方が良い成績であったが, 検査項目, 例数等が少ない為, 今後更に検討を加えてゆきたい. |
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ISSN: | 0546-1448 |