(6)双生児を含む血縁者にBRCA保因者診断を実施した家族性乳癌の1家系

発端者は45歳女性で, 星総合病院外科で手術を施行した. 家族歴から家族性乳癌と診断し, 東北家族性腫瘍研究会の家族性乳癌の遺伝子診断プロジェクトに登録した. BRCA2, exon11に5bの欠失がありフレームシフト変異を認め, その結果codon2173にstop codon(TGA)を生ずるタンパク質切断型変異を認めた. その後, 県外在住の姉が乳癌に罹患した. 次いですぐ上の姉が55歳で乳癌に罹患し星総合病院外科で手術を施行した. これで, 姉妹に4名の乳癌患者が発生したことになった. 父は胃癌で49歳時死亡, 母は脳血管障害で57歳時死亡している. 長兄は72歳膵臓癌で死亡, 長姉は...

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Published in家族性腫瘍 Vol. 6; no. 1; p. 41
Main Authors 菊地サエ子, 野水整, 小島彰, 早瀬傑, 岩倉敬, 佐久間威之, 山田睦夫, 片方直人, 渡辺文明, 酒寄真人, 石岡千加史, 河原正典, 竹之下誠一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本家族性腫瘍学会 15.01.2006
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ISSN1346-1052

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Summary:発端者は45歳女性で, 星総合病院外科で手術を施行した. 家族歴から家族性乳癌と診断し, 東北家族性腫瘍研究会の家族性乳癌の遺伝子診断プロジェクトに登録した. BRCA2, exon11に5bの欠失がありフレームシフト変異を認め, その結果codon2173にstop codon(TGA)を生ずるタンパク質切断型変異を認めた. その後, 県外在住の姉が乳癌に罹患した. 次いですぐ上の姉が55歳で乳癌に罹患し星総合病院外科で手術を施行した. これで, 姉妹に4名の乳癌患者が発生したことになった. 父は胃癌で49歳時死亡, 母は脳血管障害で57歳時死亡している. 長兄は72歳膵臓癌で死亡, 長姉は子宮癌, 胃癌, 乳癌(61歳)に罹患し現在生存である. 発端者のすぐ上の姉(乳癌患者)とその娘1名, 発端者の一卵性双生児の娘2名に保因者診断を行った. 結果は乳癌患者の姉, その娘, 双生児の姉の方が発端者と同じ変異を持つ保因者であった. 双生児の妹は発端者でなかった. 一卵性双生児ということが遺伝子診断で二卵性双生児であることが明らかになった. 未発症保因者には「がんの遺伝外来」で結果を伝えるとともに今後の対処の仕方などカウンセリングを行った.
ISSN:1346-1052