背側部手指屈筋腱縫合の優位性:生体力学的解析

「目的」屈筋腱背/掌側縫合および背側/掌側部における力学強度の違いを, 静的引っ張り試験を用いて解析することにある. 「方法」新鮮凍結人深指屈筋腱(Zonell)を用いて以下の実験を行った. 1)背側/掌側縫合の破断強度解析:20腱をその中央部で切断し, 10腱はcore sutureを背側(dMKS)に, 他の10腱はcore sutureを掌側(vMKS)に施し, 静的引っ張り試験を行い, 破断強度, 弾性率を計測した. 2)背側部/掌側部の応力解析:10腱をメス(n=7), バイブラトーム(n=3)を用いて背側部(dFDP)と掌側部(vFDP)に半割し, 同様に静的引っ張り試験を行い,...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 45; no. 2; pp. 636 - 637
Main Authors 副島修, 緒方公介, 飯田博幸, 松永和剛, Edward Diao, Jeffrey C.Lotz
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.03.1996
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ISSN0037-1033

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Summary:「目的」屈筋腱背/掌側縫合および背側/掌側部における力学強度の違いを, 静的引っ張り試験を用いて解析することにある. 「方法」新鮮凍結人深指屈筋腱(Zonell)を用いて以下の実験を行った. 1)背側/掌側縫合の破断強度解析:20腱をその中央部で切断し, 10腱はcore sutureを背側(dMKS)に, 他の10腱はcore sutureを掌側(vMKS)に施し, 静的引っ張り試験を行い, 破断強度, 弾性率を計測した. 2)背側部/掌側部の応力解析:10腱をメス(n=7), バイブラトーム(n=3)を用いて背側部(dFDP)と掌側部(vFDP)に半割し, 同様に静的引っ張り試験を行い, 破断強度, 弾性率, 応力を計測した. 「結果」1)dMKSの破断強度はvMKSより26.5%大きかった(p<0.05). 2)dFDPの応力はvFDPよりそれぞれ58.3%(メス), 47.6%(バイブラトーム)大きかった(p<0.05). 「まとめ」手指屈筋腱背/掌側間には明らかに生体力学的相違が存在し, これが背側部縫合の優位性に関与している可能性が示唆された.
ISSN:0037-1033