DOA症例における血清CPK-BB測定の意義
<目的>CPKのisozymeであるCPK-BBは脳に多く含まれ, 脳の諸病変や外傷で血中に出現することが報告されている. 今回われわれはDOA症例の心肺蘇生術成功例において血清CPKとCPK-BBを経時的に測定し, CPK-BBと生命予後について検討した. <対象および方法>対象は過去1年5カ月間におけるDOA症例で心肺蘇生術を施行し心拍再開しえた症例のうち, 血清CPKおよびCPK isozymeの測定はセルロース・アセテート膜電気泳動法によって行い, 測定時期は心肺蘇生術施行後24時間以内に1~4回, 以後1~2日に1回の割合で行った. <結果>7例の...
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Published in | 蘇生 Vol. 5; p. 115 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本蘇生学会
01.04.1987
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ISSN | 0288-4348 |
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Summary: | <目的>CPKのisozymeであるCPK-BBは脳に多く含まれ, 脳の諸病変や外傷で血中に出現することが報告されている. 今回われわれはDOA症例の心肺蘇生術成功例において血清CPKとCPK-BBを経時的に測定し, CPK-BBと生命予後について検討した. <対象および方法>対象は過去1年5カ月間におけるDOA症例で心肺蘇生術を施行し心拍再開しえた症例のうち, 血清CPKおよびCPK isozymeの測定はセルロース・アセテート膜電気泳動法によって行い, 測定時期は心肺蘇生術施行後24時間以内に1~4回, 以後1~2日に1回の割合で行った. <結果>7例の原因のうちわけは急性心筋梗塞2例, 窒息3例, 原因不明2例であり, そのうち4例は完全回復し(急性心筋梗塞2例, 窒息2例), 3例は死亡した(窒息1例, 原因不明2例). CPK-BBは7例中3例に認め(窒息2例, 原因不明1例), 値はそれぞれ10.47, 14.48, 10.80IU/1(平均11.90IU/1, 12.8%)であった. しかもCPK-BBは蘇生直後から6時間以内のきわめて早期にのみ検出され, 18時間以後では検出されなかった. 3例の生命予後は窒息の1例が完全回復, 窒息と原因不明のそれぞれ1例ずつが死亡した. <考察>(1)CPK-BBの血中への出現の有無を検討する際, 測定時期が重要で, 蘇生術施行後6時間以内に測定する必要があると考えられる. (2)CPK-BBの血中への出現機序については脳組織障害がBBBの破綻を伴っていることが重要といわれているが, DOA症例ではそれに加えて体循環および脳循環が保たれていることが必要と思われる. (3)CPK-BBを認めた3例中2例は死亡, CPK-BBを認めなかった4例中3例は完全回復を示し, しかもCPK-BBは蘇生術施行後6時間以内の早期に検出されており, CPK-BBは他の所見に比べ蘇生後早期に生命の危険を予測させる所見であることを予想させた. |
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ISSN: | 0288-4348 |