高齢者における胃のHelicobacter pylori(HP)感染と口腔との関連
従来の報告では口臭とHP感染には関連性は認めるが, 喪失歯数とHP感染には関連はないとされる. これらの報告の多くが中年齢層を対象としている. 一方で味覚異常とHP感染との関連に関する報告は見られない, 85歳の高齢者における胃のHP感染と歯数, 口臭, 味覚異常についての関連を検討した. 北九州市および周辺諸市町村在住の85歳の高齢者207名を対象とし, 口臭および味覚異常に関するアンケート調査, 口腔診察, 内科診察, 血液検査を行った. HP感染の有無は血清抗HP IgG抗体価(EIA法)を用い, 対象をHP陽性群とHP陰性群に分け, 比較検討した. 検診に参加した207名のうち, 全過...
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Published in | 九州歯科学会雑誌 Vol. 59; no. 4; pp. 178 - 179 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
九州歯科学会
25.10.2005
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ISSN | 0368-6833 |
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Summary: | 従来の報告では口臭とHP感染には関連性は認めるが, 喪失歯数とHP感染には関連はないとされる. これらの報告の多くが中年齢層を対象としている. 一方で味覚異常とHP感染との関連に関する報告は見られない, 85歳の高齢者における胃のHP感染と歯数, 口臭, 味覚異常についての関連を検討した. 北九州市および周辺諸市町村在住の85歳の高齢者207名を対象とし, 口臭および味覚異常に関するアンケート調査, 口腔診察, 内科診察, 血液検査を行った. HP感染の有無は血清抗HP IgG抗体価(EIA法)を用い, 対象をHP陽性群とHP陰性群に分け, 比較検討した. 検診に参加した207名のうち, 全過程を施行し得た204名で検討した. 男性88名, 女性116名で, 胃のHP感染陽性率は男性79.5%, 女性57.8%であった. 現在歯数, 残根を除いた現在歯数, 口臭および味覚異常に関して男女ともにHP陽性群と陰性群との間に統計学的に有意差は認められなかった. 高齢者においてH. pylori感染と現在歯数, 口臭および味覚異常との間に関連は認めなかった. |
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ISSN: | 0368-6833 |