HIV感染ハイリスクグループのC型肝炎ウイルス抗体保有率

I. 目的 HIV感染リスクグループである日本人男性同性愛者(HS)の, C型肝炎ウイルス(HCV)抗体保有率を検索する. II. 方法 HIV抗体検索を希望して当内科を受診したHS 158名を対象に, HCV抗体(Ortho), Hbs抗原, 同抗体, HIV抗体, クラミジア抗体(Savyon), および梅毒血清反応(TPHAテスト)を実施した. なお今回対象としたHSは全て輸血歴はない. III. 成績 HCV抗体は3例(1.9%)に陽性であった. HIV抗体は4例に陽性であったが, HCV抗体は全て陰性であった. 一方, HBs抗体は, 124例中29例に陽性(23.3%), またTP...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 36; no. 2; p. 342
Main Authors 松田重三, 木下忠俊, 安部英, 渡辺準之助, 西岡久寿彌
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.05.1990
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Summary:I. 目的 HIV感染リスクグループである日本人男性同性愛者(HS)の, C型肝炎ウイルス(HCV)抗体保有率を検索する. II. 方法 HIV抗体検索を希望して当内科を受診したHS 158名を対象に, HCV抗体(Ortho), Hbs抗原, 同抗体, HIV抗体, クラミジア抗体(Savyon), および梅毒血清反応(TPHAテスト)を実施した. なお今回対象としたHSは全て輸血歴はない. III. 成績 HCV抗体は3例(1.9%)に陽性であった. HIV抗体は4例に陽性であったが, HCV抗体は全て陰性であった. 一方, HBs抗体は, 124例中29例に陽性(23.3%), またTPHAは116例中25例, 21.5%に陽性で, さらにクラミジア抗体は, 158例中39例24.6%が陽性となり一般人と比べ有意の差をもって高い陽性率を示した. IV. 結論 今回検索したHSにおいては, sexually transmitted disease(STD)と目されるHBs抗体, 梅毒抗体, クラミジア抗体いずれも陽性率は高かったが, HCV抗体の陽性率は, 一般人のそれとほゞ同様であった. よって, HCVは, 性的行為では非常に感染しにくいと考えられるが, 経験年数の長い売春婦でのHCV抗体陽性率は高いとする報告もあり, 今後さらに症例を重ねて検討する必要がある.
ISSN:0546-1448