当教室における過去7年間の小児顎骨骨折の臨床統計的観察
小児の顎骨骨折については, その臨床病態が, 成人のそれとは異なり, 治療にあたっては, 顎骨の発育や歯胚の発育など, 生理的・解剖学的見地から十分な配慮が必要である. 今回, われわれは, 1981年10月の開設以来, 1988年12月まで, 過去7年間に, 奈良県立医科大学附属病院口腔外科を受診した15歳未満の顎顔面骨折患者(歯槽骨骨折も含む)59症例について臨床統計的観察を行ったので報告する. 性別では男児30例, 女児29例であり, 男女比はなかった. 年齢別では, 女児では各年齢に平均的に認められるが, 男児では, 8~9歳, 12歳以上に比較的多く認められた. 受傷原因としては,...
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Published in | 小児口腔外科 Vol. 1; no. 1; p. 84 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本小児口腔外科学会
01.05.1991
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ISSN | 0917-5261 |
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Summary: | 小児の顎骨骨折については, その臨床病態が, 成人のそれとは異なり, 治療にあたっては, 顎骨の発育や歯胚の発育など, 生理的・解剖学的見地から十分な配慮が必要である. 今回, われわれは, 1981年10月の開設以来, 1988年12月まで, 過去7年間に, 奈良県立医科大学附属病院口腔外科を受診した15歳未満の顎顔面骨折患者(歯槽骨骨折も含む)59症例について臨床統計的観察を行ったので報告する. 性別では男児30例, 女児29例であり, 男女比はなかった. 年齢別では, 女児では各年齢に平均的に認められるが, 男児では, 8~9歳, 12歳以上に比較的多く認められた. 受傷原因としては, 転落・転倒, 交通事故, スポーツ外傷の順に多く認められた. 骨折部位別では, 歯槽骨骨折27例, 下顎骨骨折30例, 頬骨骨折2例であった. 歯槽骨骨折は, 10歳以下の低年齢児に多く認められるのに対し, 下顎骨骨折は10歳以上の者に多く認められた. 下顎骨骨折の部位別では, 関節突起が最も多く, 次いで, オトガイ部, 骨体部の順であった. 処置内容としては, 歯槽骨骨折例では, D・B・Sやワイヤー併用レジン固定が多く, 又, 特に乳歯列では, 脱臼歯の抜歯や歯槽骨整形を施行した例も多かった. 下顎骨骨折に対しては, 線副子や床副子を使用した非観血的処置例が多数を占めた. その他, 受傷より当科来院までの期間, 骨折様態, 固定期間を含めた治療法についても検討を加えたので併せて報告する. |
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ISSN: | 0917-5261 |