ピーナッツレクチン(PNA. Arachis hypogaea lectin)に反応する小児赤芽球癆及びill-defined dyshematopoiesisの赤血球性状についての研究

目的:ピーナッツレクチン(PNA, Arachis hypogaea lectin)に反応する赤血球は高率に赤芽球傍(PECA)患者に出現することを本学会において報告してきたが, 今回は骨髄異形成症候群(ms)や再生不良性貧血(A.A)などと鑑別困難な不明造血障害をきたす, いわゆるill-defined dyshematopoiesis(IDD)に相当する患児にも上記の異常が見出されたので, 両疾患に見られる赤血球の特徴などを検討したので報告する. 対象および方法:PRCA9例(治療中6例, 寛解中2例, 一過性1例), HDS3例, A.A5例, その他各種貧血患児および臍帯血である. P...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 39; no. 2; p. 401
Main Authors 渋谷温, 佐藤干秋, 平山美津江, 鈴木雅之, 檀谷尚宏, 篠沢隆, 町田早苗, 畑俊夫, 市川洋一, 村田愿, 瀬尾たい子, 内川誠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.05.1993
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Summary:目的:ピーナッツレクチン(PNA, Arachis hypogaea lectin)に反応する赤血球は高率に赤芽球傍(PECA)患者に出現することを本学会において報告してきたが, 今回は骨髄異形成症候群(ms)や再生不良性貧血(A.A)などと鑑別困難な不明造血障害をきたす, いわゆるill-defined dyshematopoiesis(IDD)に相当する患児にも上記の異常が見出されたので, 両疾患に見られる赤血球の特徴などを検討したので報告する. 対象および方法:PRCA9例(治療中6例, 寛解中2例, 一過性1例), HDS3例, A.A5例, その他各種貧血患児および臍帯血である. PMのほかに使用したのはSaliva sclarea, Saliva horminum, Glycin sojaなどのレクチンパネルや, その他Vicia cretica, Dolichos biflorus, Ulex europaeusなどである. 各種抗血清として抗A, 抗B, モノクローナル抗体として抗A, 抗B, 抗I, 抗Hそれに抗iも使用した. また赤血球HbFそれに赤血球膜糖蛋白をSDS-PAGEにより分析し, 一部の症例の赤血球ではビオチンラベルPNAとのWestern blot法による分析を行った. 結果及び結論:PRCA9例中5例がPNAとのみ反応した. IDDの3例でも同様に全例でPNAと反応したが, MDS, A.A, その他各種貧血, 臍帯血ではPNAとそれ以外のレクチンパネルには反応しなかった. HbF値はPNA反応例では非反応例に比し高値を示した. 抗iにはPNA反応例と臍帯血で陽性であった. またPNA反応例では抗A, 抗Bには正常だが抗Hに対し反応低下を示すものがあった. SDS-PAGEによる赤血球膜糖蛋白ではPNA反応例でも非反応例や各種貧血と同様に異常バンドは見られなかった. Western blot法ではPNA反応例で分子量30,000部分に濃いバンド像が見られた. 以上からPRCAやIDDに高率に見られるPNA反応を示す赤血球は臍帯血に類似した幼若段階の赤血球思われるが, 臍帯血とは異なる糖鎖構造異常があり, また分子量30,000の蛋白上に存在する糖鎖異常の可能性が考えられるがさらに検討を要すると思われる.
ISSN:0546-1448