最近経験した薬剤性肺炎の5例

市販薬を含めて薬剤の種類の多様化に伴い, 薬剤性肺炎の報告が増加してきた. 1989年小柴胡湯による薬剤性肺炎が報告され, それまで副作用が少ないとされていた漢方薬にも副作用の生じうることが知られるに至った. 1997年の1年間に我々は5例の薬剤性肺炎を経験した. (症例1)23歳男性. 感冒で近医を受診し内服薬の処方を受けた. その後発熱, 労作時息切れ, 胸部X線異常影を認め紹介された. 原因薬剤:セラペプターゼ(ダーゼン(R)) (症例2)72歳, 女性. 慢性肝炎を近医で治療中, 咳嗽, 胸部X線異常影で紹介された. 原因薬剤:茵陳五苓散 (症例3)59歳男性. 慢性関節リウマチを近医...

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Published in気管支学 Vol. 20; no. 3; p. 247
Main Authors 二井谷研二, 保澤総一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本気管支学会 25.04.1998
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ISSN0287-2137

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Summary:市販薬を含めて薬剤の種類の多様化に伴い, 薬剤性肺炎の報告が増加してきた. 1989年小柴胡湯による薬剤性肺炎が報告され, それまで副作用が少ないとされていた漢方薬にも副作用の生じうることが知られるに至った. 1997年の1年間に我々は5例の薬剤性肺炎を経験した. (症例1)23歳男性. 感冒で近医を受診し内服薬の処方を受けた. その後発熱, 労作時息切れ, 胸部X線異常影を認め紹介された. 原因薬剤:セラペプターゼ(ダーゼン(R)) (症例2)72歳, 女性. 慢性肝炎を近医で治療中, 咳嗽, 胸部X線異常影で紹介された. 原因薬剤:茵陳五苓散 (症例3)59歳男性. 慢性関節リウマチを近医で加療中, 咳嗽, 労作時呼吸困難あり. 胸部X線異常影を認め紹介された. 原因薬剤:メソトレキセート (症例4)59歳, 男性. 高尿酸血症を近医で加療中, 乾性咳嗽, 発熱, 呼吸困難を生じ紹介された. 原因薬剤:慧苡仁湯 (症例5)58歳, 男性. 高血圧を当科で加療中, 労作時の息切れを自覚, 胸部X線異常影を認めた. 原因薬剤:塩酸テモカブリル(エースコール(R)) いずれの症例も気管支鏡によるBALを参考にし, DLST陽性を診断根拠とした. いかなる薬剤でも薬剤性肺炎の生じうることを考慮にいれ, 診療にあたる必要がある.
ISSN:0287-2137