DNA解析により判明した血清コリンエステラーゼ―K-変異の一例

「はじめに」血清コリンエステラーゼ(ChE:EC3. 1.1.8)はわが国では肝臓での蛋白合成能の指標として広く臨床検査に応用されている. また, 本酵素はサクシン等の筋弛緩剤の代謝に関わりその異常により投薬後の遷延性無呼吸を起こすことから, 薬理遺伝病として, 遺伝的変異が報告されている. 変異型としては, Dibucaine耐性1)(A typical A型), Fluoride耐性2)(F型), Silent3)(S型)が古くより知られている. 近年になってJ4), K5), H6)の変異が報告されている. また, ChE遺伝子の塩基配列は近年になって明らかにされ7), A型, F型,...

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Published in生物物理化学 Vol. 38; no. 3; pp. 209 - 211
Main Authors 須藤加代子, 前川真人, 後藤はるみ, 小泉博史, 秋月摂子, 真柄直郎, 菅野剛史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本電気泳動学会 01.06.1994
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Summary:「はじめに」血清コリンエステラーゼ(ChE:EC3. 1.1.8)はわが国では肝臓での蛋白合成能の指標として広く臨床検査に応用されている. また, 本酵素はサクシン等の筋弛緩剤の代謝に関わりその異常により投薬後の遷延性無呼吸を起こすことから, 薬理遺伝病として, 遺伝的変異が報告されている. 変異型としては, Dibucaine耐性1)(A typical A型), Fluoride耐性2)(F型), Silent3)(S型)が古くより知られている. 近年になってJ4), K5), H6)の変異が報告されている. また, ChE遺伝子の塩基配列は近年になって明らかにされ7), A型, F型, K型, 7種のS型変異の異常DNA部位も報告された8, 9). われわれは成人型多発性嚢胞腎(APCKD)の患者にChE活性のほとんど検出されないS型タイプ1家系を見いだし報告した10, 11). 今回われわれはAPCKDの別の患者に低ChE活性を見いだしその遺伝子解析を行ったところ, phenotypeからの判定が困難12)であるためか, 日本ではいまだ報告されていないK変異の保因者であったのでここに報告する.
ISSN:0031-9082