頭蓋内占拠性病変における経頭蓋超音波断層法画像診断の有用性とその限界

1. はじめに 人体における超音波の利用の歴史は意外に古い. 1942年Dussikらは脳室の同定のために超音波を初めて用いている. その後1955年Leksell1)が2probe法によるAモード脳Midline Echo法を確立, 無侵襲頭蓋内診断についての報告を行なった. しかし脳神経外科領域においては, 検査対象が頭蓋骨という音響的遮蔽性の高い組織によって囲まれているため, 他の諸臓器に比して画像診断的意義は一時低下した. 1982年Aaslidら2)は, 経頭蓋超音波ドプラ血流測定法(Transcranial Doppler=TCD)を開発し, 超音波利用のリアルタイム頭蓋内血流動態...

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Published inNeurosonology Vol. 5; no. 3; pp. 85 - 94
Main Author 長谷川譲
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経超音波学会 01.12.1992
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ISSN0917-074X

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Summary:1. はじめに 人体における超音波の利用の歴史は意外に古い. 1942年Dussikらは脳室の同定のために超音波を初めて用いている. その後1955年Leksell1)が2probe法によるAモード脳Midline Echo法を確立, 無侵襲頭蓋内診断についての報告を行なった. しかし脳神経外科領域においては, 検査対象が頭蓋骨という音響的遮蔽性の高い組織によって囲まれているため, 他の諸臓器に比して画像診断的意義は一時低下した. 1982年Aaslidら2)は, 経頭蓋超音波ドプラ血流測定法(Transcranial Doppler=TCD)を開発し, 超音波利用のリアルタイム頭蓋内血流動態モニタが可能であると報告した. さらにSpencer, 古幡らは, 低周波数の超音波を用いた頭蓋内Bモード撮影による経頭蓋超音波カラードプラ法(Transcranial Color Flow Imaging=TCFI)の実用化を成功させ, 頭蓋内血流動態測定においてBモード画像上に血流を可視化することの有用性を提唱した3)-5).
ISSN:0917-074X