Stage I肺非小細胞がんにおけるFhit蛋白質発現の臨床病理学的意義

【目的】ヒト肺がんにおいて第3番染色体短腕(3p)の欠失は高頻度に認められており, 3p14.2領域からFHIT遺伝子が候補がん抑制遺伝子として同定された. FHIT遺伝子はホモ欠失, 転写異常, メチル化により遺伝子産物の発現低下消失を高頻度に認めている. 今回我々は, Stage I肺非小細胞がんにおけるFhit蛋白質の発現の臨床病理学的意義を検討した. 【方法】1985年から1994年に国立がんセンター中央病院で切除され, 病理学的にStage Iと診断された原発性肺非小細胞がん患者105例を対象とした. 摘出された肺腫瘍のFhit蛋白質の発現を免疫組織学的に検討し, それと連続する肺腫...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 51; no. 5; p. 361
Main Authors 富澤由雄, 斎藤龍生, 中島孝, 河野隆志, 横田淳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 01.09.2001
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ISSN1343-2826

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Summary:【目的】ヒト肺がんにおいて第3番染色体短腕(3p)の欠失は高頻度に認められており, 3p14.2領域からFHIT遺伝子が候補がん抑制遺伝子として同定された. FHIT遺伝子はホモ欠失, 転写異常, メチル化により遺伝子産物の発現低下消失を高頻度に認めている. 今回我々は, Stage I肺非小細胞がんにおけるFhit蛋白質の発現の臨床病理学的意義を検討した. 【方法】1985年から1994年に国立がんセンター中央病院で切除され, 病理学的にStage Iと診断された原発性肺非小細胞がん患者105例を対象とした. 摘出された肺腫瘍のFhit蛋白質の発現を免疫組織学的に検討し, それと連続する肺腫瘍組織よりDNA抽出を行い3p14.2領域の染色体欠失をPCR-LOH(loss of heterozygosity)解析により検討した. 【結果】105例中35例(34%)でFhit蛋白質の著明な発現低下を認めた. Fhit蛋白質の発現低下は, 腺がん(7/67, 10%)に比べて, 扁平上皮がん(24/28, 86%)において高頻度に認められた. また, 非喫煙者(4/25, 16%)に比べ, 喫煙者(32/80, 40%)で高頻度に発現低下を認めた.
ISSN:1343-2826