骨髄移植におけるマイクロサテライト DNA 法を用いた遺伝子的生着確認法とその有用性

【目的】骨髄移植の生着の確認の手段として, Microsatellite DNA 法を用いることの有用性を検討する. 【症例】当院第一内科および神奈川県立がんセンターで行った骨髄移植症例20例について検討を行った. 【方法】骨髄移植の前後で患者の骨髄または末梢血の単核球を採取しDNAを抽出する. 5種の primer(Int2p rotooncogene, Transcription factor II D, Human growth hormone, D11S534, D6S89sample)を用いてPCRで増幅した後, 泳動し銀染色を行う. ドナー検体も同様に行いバンドのパターンを比較検討...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 44; no. 2; p. 205
Main Authors 松崎道男, 岩上薫, 原田佐保, 新井直美, 倉田由美子, 前田清子, 岡卓志, 小原澤英之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.04.1998
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ISSN0546-1448

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Summary:【目的】骨髄移植の生着の確認の手段として, Microsatellite DNA 法を用いることの有用性を検討する. 【症例】当院第一内科および神奈川県立がんセンターで行った骨髄移植症例20例について検討を行った. 【方法】骨髄移植の前後で患者の骨髄または末梢血の単核球を採取しDNAを抽出する. 5種の primer(Int2p rotooncogene, Transcription factor II D, Human growth hormone, D11S534, D6S89sample)を用いてPCRで増幅した後, 泳動し銀染色を行う. ドナー検体も同様に行いバンドのパターンを比較検討しドナー型, 患者型およびキメラ状態(以後 Mix と略す)を決定する. 【結果および考察】20症例中Mixとなったのは2症例で, うち1例は生着したもののその後再発し, もう1例は晩期拒絶で現在も経過観察中である. 他の18例はすべてドナー型で臨床的にも生着を確認した. 本法を用いた検査に要する時間は2日間であり, BMT 後2週間で土着の確認が可能である. また生着を客観的に評価できるよい検査なので, 大いに利用すべきである. また今回用いた5種の primer で20症例すべてを評価することができたが, Dl11S534は患者とドナーで不一致のバンドが下表のようにほとんど認められなかったので, primer としては選択すべきではないことがわかった.
ISSN:0546-1448