Segment保存Sampleによる臍帯血のコロニーアッセイの検討
【目的】臍帯血移植を行う前に解凍した細胞に十分な造血能が保持されていることを確認する為に, 移植前検査用として細胞を一部保存しておくことは有用と考えられる. 今回, 我々は臍帯血の凍結保存時に, 凍結Bagのチューブ部分を用いて作製した検査用のSegmentと凍結Bagの両者に保存された細胞について, 解凍後コロニーアッセイを行い, 検査用Segmentにより凍結Bag中の総CFU-GM数の予測が可能と考えられたので報告する. 【対象・方法】当院の臍帯血バンクにおいて保存された臍帯血のうち, 検討用に解凍した7例と移植用に解凍した9例を対象とした. Segmentは凍結Bag内の細胞浮遊液に凍...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 45; no. 2; p. 188 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.04.1999
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ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | 【目的】臍帯血移植を行う前に解凍した細胞に十分な造血能が保持されていることを確認する為に, 移植前検査用として細胞を一部保存しておくことは有用と考えられる. 今回, 我々は臍帯血の凍結保存時に, 凍結Bagのチューブ部分を用いて作製した検査用のSegmentと凍結Bagの両者に保存された細胞について, 解凍後コロニーアッセイを行い, 検査用Segmentにより凍結Bag中の総CFU-GM数の予測が可能と考えられたので報告する. 【対象・方法】当院の臍帯血バンクにおいて保存された臍帯血のうち, 検討用に解凍した7例と移植用に解凍した9例を対象とした. Segmentは凍結Bag内の細胞浮遊液に凍害保護液を添加, 混和後, Bagのチューブ部分にその一部を逆流させて, シールすることにより作製した. 解凍はSegment, Bag共に37℃の恒温槽にて行った. その後それぞれの有核細胞数と生存率を計測し, コロニーアッセイはMetho CultH4433(ベリタス)を用いて行った. また移植用の9例のうち8例についてはProCOUNT(ベクトンディッキンソン)を用いてBag内のCD34陽性細胞数の計測を行った. 【結果】解凍後のSegmentとBagの有核細胞の生存率はそれぞれ72.4±13.2%と91.8±9.9%であったが, 総有核細胞数のSegmentから予測される値(以下Bag予測値)とBag実測値はそれぞれ3.52±2.23×10^8 個と4.71±2.20×10^8 個であり相関係数は0.847であった. また総CFU-GM数のBag予測値とBag実測値はそれぞれ1.19±1.11×10^5 個と2.00±1.73×10^5 個であり相関係数は0.929であった. Bag内のCD34陽性細胞数は159±100×10^6 個であり, 総CFU-GM数との相関係数は0.962であった. 【考察】移植時の総CFU-GM数を過去の経験からある程度予測することは可能であるが, 必ずしも正確な予測が出来るとは限らず, 移植前の検査は有用である. Segmentを解凍した場合, Bagに比べ生存率は低値を示したものの, 総CFU-GM数のBag予測値と実測値には良好な相関が認められた. Segmentによる検査用Sampleの保存は, 凍結保存チューブよりも簡便でBagと別の収納スペースを必要としない利点があり, また信頼性のあるBag解凍時の予測が可能と考えられた. 現在の当院の臍帯血の保存状況と合わせて報告する. |
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ISSN: | 0546-1448 |