健常者と成人病所見所有者における体力の比較

近年各企業の健康づくりの一環として体力測定が実施されているが, その意義をより明確にする必要に迫られている. 今回, 富士電機松本工場でも, 本格的に体力測定(最大酸素摂取量・垂直跳び・立位体前屈・上体起こし・反復横跳び)が実施されるようになって6年を経過したことから, 行動能力・安全・健康等の面で測定種目がより明確な目的を持って測定できるように今までのデータを再検討した. その結果, まず第1に年代別体力目標値を従来の「日本人の体力標準値」としている点について, 過去6年間の工場の平均値と比較したところ, 立位体前屈・反復横跳び・最大酸素摂取量で大きな差がみられた. また, 成人病が増加する...

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Published in産業衛生学雑誌 Vol. 38; no. 1; p. 42
Main Authors 渡部鐐二, 菅井敬子, 赤羽正子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本産業衛生学会 20.01.1996
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Summary:近年各企業の健康づくりの一環として体力測定が実施されているが, その意義をより明確にする必要に迫られている. 今回, 富士電機松本工場でも, 本格的に体力測定(最大酸素摂取量・垂直跳び・立位体前屈・上体起こし・反復横跳び)が実施されるようになって6年を経過したことから, 行動能力・安全・健康等の面で測定種目がより明確な目的を持って測定できるように今までのデータを再検討した. その結果, まず第1に年代別体力目標値を従来の「日本人の体力標準値」としている点について, 過去6年間の工場の平均値と比較したところ, 立位体前屈・反復横跳び・最大酸素摂取量で大きな差がみられた. また, 成人病が増加する40歳以上の男性を異常値範囲のグループと正常値範囲のグループの2つに分け, 体力測定値と形態{肥満度(BMI)・%FAT}, 血圧, 血液検査{T-CHO・HDL-chl・AI(動脈硬化指数)・TG・UA}との相関をとったところ, 最大酸素摂取量とHDL-cho, 肥満度, 血圧にP<0.001, AIと反復横跳びにP<0.05の有意差が認められた. 更に, 成人病有疾患者と正常者とを体力測定値・血圧・形態の平均値において比較したところ, 肥満度・血圧・最大酸素摂取量・立位体前屈が健康面で大きく関与している結果が認められた. 今後, 行動力の伴った健康を保持するための体力を医学的・運動生理学的に考察するとともに, 体力目標値の設定を検討し, 体力測定値の意義を確立する必要があると考えた.
ISSN:1341-0725
1349-533X