RT-PCR法による血清中HIV定量検査によるHIV感染症患者のモニタリング

1995年に血中HIV-RNA定量検査が確立され, 欧米ではHIV感染症患者の検査として日常的におこなわれている. 当院輸血部ではHIV関連検査としてHIV1/2抗体検査とリンパ球表面マーカー検査をおこなってきたが, 1997年6月にHIV1-RNA定量検査を導入した. そこで, 1997年10月末日までに測定したウイルス量と, CD4リンパ球実数などの他の検査結果や薬剤の投与と照らし合わせて検討したので報告する. 方法と結果:HIV1-RNA定量は日本ロッシュ社のアンプリコアHIV-1モニターキットを用いたRT-PCR法でおこなった. 6月から10月末日までの5ヵ月間に4回以上測定した14例...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 44; no. 5; pp. 654 - 655
Main Authors 谷廣ミサエ, 山口涼子, 平岡朝子, 藤井輝久, 高田昇, 木村昭郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.09.1998
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Summary:1995年に血中HIV-RNA定量検査が確立され, 欧米ではHIV感染症患者の検査として日常的におこなわれている. 当院輸血部ではHIV関連検査としてHIV1/2抗体検査とリンパ球表面マーカー検査をおこなってきたが, 1997年6月にHIV1-RNA定量検査を導入した. そこで, 1997年10月末日までに測定したウイルス量と, CD4リンパ球実数などの他の検査結果や薬剤の投与と照らし合わせて検討したので報告する. 方法と結果:HIV1-RNA定量は日本ロッシュ社のアンプリコアHIV-1モニターキットを用いたRT-PCR法でおこなった. 6月から10月末日までの5ヵ月間に4回以上測定した14例について, CD4リンパ球実数とともに検討した. 14例全てが逆転写酵素とプロテアーゼ阻害剤の併用療法を受けていた. その間のウイルス量の変化は14例中4例が増加, 6例が不変, 4例が減少であった. CD4リンパ球実数は12例でほとんど変化がなった. 残る2例の増加例はともにウイルス量低下群であった. 考察:ウイルス量の低下している症例は治療が奏効しているものと考えられる. 増加している症例は不応性になっていると考えられる. つまりHIV1-RNA定量検査は, 治療の効果を判定するのに有用な, 比較的簡便に測定できる方法と言える.
ISSN:0546-1448