脳卒中患者の職業復帰

障害者の求職数が過去最高となり, 年々障害者の職業復帰が困難な現在, 脳卒中患者の職業復帰に関して調査を行い検討した. 「対象と方法」1994~1999年までの6年間で厚生中央病院に入院し, リハビリテーション科に依頼のあった脳卒中患者148例中, 発症直前まで職があり, かつ退院時に歩行およびADLが自立していた37例(平均年齢56.7±10.2歳, 男性33例, 女性4例)に対して, 職業復帰に関する手紙および電話による調査を行った. 「結果」2例が定年のため復帰せずに退職していた. 復帰予定も含め復帰可能例は14例(平均年齢54.0歳)で, すべて発症前と同じ職場へ復帰していた. 産業分...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 37; no. 12; p. 1116
Main Authors 依田奈緒美, 森義明, 依田光正
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.12.2000
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Summary:障害者の求職数が過去最高となり, 年々障害者の職業復帰が困難な現在, 脳卒中患者の職業復帰に関して調査を行い検討した. 「対象と方法」1994~1999年までの6年間で厚生中央病院に入院し, リハビリテーション科に依頼のあった脳卒中患者148例中, 発症直前まで職があり, かつ退院時に歩行およびADLが自立していた37例(平均年齢56.7±10.2歳, 男性33例, 女性4例)に対して, 職業復帰に関する手紙および電話による調査を行った. 「結果」2例が定年のため復帰せずに退職していた. 復帰予定も含め復帰可能例は14例(平均年齢54.0歳)で, すべて発症前と同じ職場へ復帰していた. 産業分類別ではサービス業6例, 卸売業4例, 小売業1例, 建設業1例, 不動産業1例, 公務1例であった. 復帰不可能例は21例(平均年齢57.5歳). 製造業8例, 建設業5例, サービス業4例, 卸売業1例, 保険業1例, 小売業1例であった. 製造業は8例中8例, 建設業は6例中5例が復帰できなかった. 復帰の可否には麻痺の程度・麻痺側は関係なかった. 「まとめ」復帰可能例は復帰に際し職場の対応がなされている例が多かった. 復帰不可能例は会社の方針によるところが多かった. これらの現状から麻痺の程度・麻痺側などの身体的問題はもとより, 職場の障害者に対する理解が復帰の可否を大きく左右すると考えられた. 建設業・製造業などの重労働を要し, かつ事故などの危険性が伴う職種の場合, 機能障害が軽度であっても職業復帰不可能であることが多かった.
ISSN:0034-351X