遅延型溶血性輸血副作用を経験した妊婦の赤血球抗体の消長と新生児溶血性疾患

10年前のファロー四徴症の手術時の輸血によって抗Jk^b 抗体, 抗E抗体による遅延型溶血性輸血副作用を発症した(第31回本学会報告)妊婦に, 妊娠30週より再び抗E抗体を認めるようになり, 妊娠37週分娩時の抗E抗体価16倍(IAT)であったが, 新生児には早発重症黄疽を認め, 交換輸血と120時間の光線療法を必要とした. さらに, 産後1ヵ月より抗Di^a 抗体を認めるようになった. 症例:K.Y.39歳. 既往歴・輸血歴:ファロー四徴症 11歳 ブラロック手術輸血量不明 29歳 体外循環装置を用いた開心術抗S抗体4倍適合新鮮血31単位, 新鮮凍結血漿4単位輸血術後7日目遅延型溶血性輸血副...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 39; no. 2; p. 501
Main Authors 浮田昌彦, 尾脇文江, 渡辺裟予, 矢切良穂
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.05.1993
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ISSN0546-1448

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Summary:10年前のファロー四徴症の手術時の輸血によって抗Jk^b 抗体, 抗E抗体による遅延型溶血性輸血副作用を発症した(第31回本学会報告)妊婦に, 妊娠30週より再び抗E抗体を認めるようになり, 妊娠37週分娩時の抗E抗体価16倍(IAT)であったが, 新生児には早発重症黄疽を認め, 交換輸血と120時間の光線療法を必要とした. さらに, 産後1ヵ月より抗Di^a 抗体を認めるようになった. 症例:K.Y.39歳. 既往歴・輸血歴:ファロー四徴症 11歳 ブラロック手術輸血量不明 29歳 体外循環装置を用いた開心術抗S抗体4倍適合新鮮血31単位, 新鮮凍結血漿4単位輸血術後7日目遅延型溶血性輸血副作用発症抗Jk^b 抗体256倍, 抗E抗体32倍適合血全血150ml, 濃厚赤血球1430ml輸血 結婚:35歳. 妊娠歴:36歳妊娠12週で流産今回の妊娠:分娩予定日1992年3月22日血液型:O, CCDee, MNss, P_1 , Le(a-b+), Fy(a+b-), Jk(a+b-), Di(a-) 夫 A, CcDEe, ss 新生児 A, CcDEe, ss, Di(a-) 赤血球抗体価の推移:抗S抗体2倍. 抗Jk^b 抗体(-). 抗E抗体妊娠5週, 19週, 26週まで(-), 32週2倍, 35週8倍, 37週帝王切開時16倍, 産後1ヵ月16倍, 産後7カ月16倍. 抗Di^a 抗体分娩時まで(-), 産後1ヵ月16倍, 産後7ヵ月2倍 臍帯血検査:T. Bil 5.7mg/dl, Hb9.9g/dl, DAT抗IgG血清(+), 抗IgG1血清(+), 赤血球抗体溶出試験抗E(+), 抗A(-), 抗B(-) 新生児の治療:A, ee血600ml交換輸血, 光線療法 考察:第39回本学会で発表したように輸血歴のある妊婦の赤血球抗体保有率は高い. 本症例の抗Di^a 抗体は副作用発症後の輸血に由来している可能性がある.
ISSN:0546-1448