RC-MAPの心臓外科手術での使用経験

RC-MAPの利点を利用して, 採血後10~12日目のRC-MAPとFFPを体外循環から術後まで用いて, ASD3例, VSD+RSV1例, A-Cバイパス1例, AVR1例の計6例の手術を行った. 体外循環時間は20分~219分で, このRC-MAP群と昭和50年代に行った新鮮全血群10例, 成分輸血群10例について比較検討した. 血清蛋白, Ht値, 血小板数, PT時間, フィブリノーゲン値の推移はいずれも1週間以内に回復した. 術後出血量はRC-MAP群の1例が35ml/kgを示したが, 他の5例は20ml/kg以下で他の群と大差なく止血に難渋した症例は無かった. 遊離Hbは3日後に,...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 39; no. 3; p. 663
Main Authors 信岡亘, 小西理雄, 石川日出明, 横山繁樹, 沖学
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.07.1993
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ISSN0546-1448

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Summary:RC-MAPの利点を利用して, 採血後10~12日目のRC-MAPとFFPを体外循環から術後まで用いて, ASD3例, VSD+RSV1例, A-Cバイパス1例, AVR1例の計6例の手術を行った. 体外循環時間は20分~219分で, このRC-MAP群と昭和50年代に行った新鮮全血群10例, 成分輸血群10例について比較検討した. 血清蛋白, Ht値, 血小板数, PT時間, フィブリノーゲン値の推移はいずれも1週間以内に回復した. 術後出血量はRC-MAP群の1例が35ml/kgを示したが, 他の5例は20ml/kg以下で他の群と大差なく止血に難渋した症例は無かった. 遊離Hbは3日後に, BUNは術後2週間後に正常値となり腎不全の症例は認めていない. 赤血球の単寿命値はRC-MAP群で1例が19日となった他は, 他の二群と共に正常範囲であった. 採血後10~12日目のRC-MAPであっても新鮮血と同様に人工心肺にも使用出来た. しかし人工心肺にprimingする場合に, 体外循環時間が長時間となったり追加充填など使用量が多くなる場合には, MAP液が稀釈率を上昇させる為に低蛋白血症, 相対的な凝固因子不足などが起る可能性が高く, 注意や対策を要する.
ISSN:0546-1448