慢性関節リウマチ患者に対する血漿交換療法の経験について

RAに対する血漿交換療法は1979年のWallaceの報告にはじまり, 盛んにその有効性が論じられているが, RAの治療系において確たる位置を占めるには致っていない. 我々は15例の患者に計192回にわたる血漿交換を行ない, その有効性を検討した. 血沈値の改善, 握力や歩行能力の改善の他に, 消化管潰瘍の治癒や, 骨の無腐性壊死の改善など, 予想外の効果も得られた. しかし, 最も期待の大きかった悪性関節リウマチ患者には効果がみられず, 施行に際して血栓症の心配があるなど問題は多かった. またFFPの使用に伴う肝機能障害が10例にみられ, FFPを減らす工夫が重要と考えられた. 現在のところ...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 29; no. 1; p. 155
Main Authors 金物壽久, 山中直樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.03.1983
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Summary:RAに対する血漿交換療法は1979年のWallaceの報告にはじまり, 盛んにその有効性が論じられているが, RAの治療系において確たる位置を占めるには致っていない. 我々は15例の患者に計192回にわたる血漿交換を行ない, その有効性を検討した. 血沈値の改善, 握力や歩行能力の改善の他に, 消化管潰瘍の治癒や, 骨の無腐性壊死の改善など, 予想外の効果も得られた. しかし, 最も期待の大きかった悪性関節リウマチ患者には効果がみられず, 施行に際して血栓症の心配があるなど問題は多かった. またFFPの使用に伴う肝機能障害が10例にみられ, FFPを減らす工夫が重要と考えられた. 現在のところ, 治療費が高くつくこと, 代用血漿には限りがあることを考えると, RAに対する本療法の適応はしぼられるべきだと考える. またこの治療法の最大の意義は, 血中の除去物質と症状の改善の関係を探ることにより, RAの原因にアプローチできる点にあると考えている.
ISSN:0546-1448