神経変性疾患患者における骨粗鬆症および骨折に関する検討

【目的】 代表的神経変性疾患であるパーキンソン病(以下PD)および脊髄小脳変性症(以下SCD)ではともにその歩行異常により転倒・骨折の危険性が高いと考えられる. これらの疾患において骨折の頻度と, 患者の日常生活活動度, 疾患の重症度および骨粗鬆症との関連について検討した. 【方法】 対象はPD 16名(男性5名, 女性11名, 平均罹病年数10年)と, パーキンソンニズムを呈するSCD 5名(女性5名, 平均罹病年数4年)の合計21名であった. これらの対象において, 厚生省老人性骨粗鬆症研究班による退行期骨粗鬆症の診断基準に基づいて骨粗鬆症の診断を行い, さらに日常生活活動度(高度活動群,...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 28; no. 11; p. 889
Main Authors 町田仁史, 澁谷誠二, 若山吉弘, 川崎仁志, 山本正彦, 村橋真, 川畑博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 01.11.1991
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ISSN0034-351X

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Summary:【目的】 代表的神経変性疾患であるパーキンソン病(以下PD)および脊髄小脳変性症(以下SCD)ではともにその歩行異常により転倒・骨折の危険性が高いと考えられる. これらの疾患において骨折の頻度と, 患者の日常生活活動度, 疾患の重症度および骨粗鬆症との関連について検討した. 【方法】 対象はPD 16名(男性5名, 女性11名, 平均罹病年数10年)と, パーキンソンニズムを呈するSCD 5名(女性5名, 平均罹病年数4年)の合計21名であった. これらの対象において, 厚生省老人性骨粗鬆症研究班による退行期骨粗鬆症の診断基準に基づいて骨粗鬆症の診断を行い, さらに日常生活活動度(高度活動群, 中等度活動群, 低度活動群), ならびにYahrの重症度と骨折の割合を比較検討した. 【結果】 退行期骨粗鬆症と診断できる者は21名中10名であり, すべてYahrの重症度においてstage III度以上であった. 一方, 骨折を呈した者は5名で, そのうち退行期骨粗鬆症と診断できる者は4名であり, それらはYahrの重症度では, stage III度以上であった. 5名の骨折者の日常生活活動度はすべて中等度群以上であった. 【結論】 PDおよびSCDにおいて日常生活活動度が高いことは原疾患, 骨粗鬆症の進行予防には重要であるが, 歩行障害による転倒の機会の増加や, PDの特異な姿勢により骨折の誘因増大が考えられ注意が必要である. <質疑応答> 上好昭孝(和歌山県立医大):何か骨折を起こさないような具体的な骨量減少をおさえる方法はおもちですか. 町田仁史:(1)具体的な方法は現在答えられません. (2)男性は(身長m)^2 ×22.0, 女性は(身長m)^2 ×21.5で標準体重を求め肥満度を求めました.
ISSN:0034-351X