教師の労働負担

小学校教師の労働負担を, 教育労働過程に即して検討した. 教師歴13~28年, 年齢41~51歳の男女各5名の教師から聞き取りを行った. 教育労働過程を, (1)教育実践そのもの, (2)教育実践の魅力, (3)教育実践の厳しさ, (4)校務分掌, (5)しんどいことが重なったときの心身の状態, (6)しんどいことが重なるときの経過に区分して検討した. (1)クラスの教育実践は, 子どもたちの発達欲求を実現すると同時に, 共感・信頼を築く活動である. その評価は教師, 子どもたち, 保護者, 社会一般から行われる. 校務分掌はクラスの仕事の合間に行なわれ, 相当の困難をともなう. (2)困難が...

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Published in産業衛生学雑誌 Vol. 42; no. 5; p. 207
Main Author 千田忠男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本産業衛生学会 20.09.2000
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Summary:小学校教師の労働負担を, 教育労働過程に即して検討した. 教師歴13~28年, 年齢41~51歳の男女各5名の教師から聞き取りを行った. 教育労働過程を, (1)教育実践そのもの, (2)教育実践の魅力, (3)教育実践の厳しさ, (4)校務分掌, (5)しんどいことが重なったときの心身の状態, (6)しんどいことが重なるときの経過に区分して検討した. (1)クラスの教育実践は, 子どもたちの発達欲求を実現すると同時に, 共感・信頼を築く活動である. その評価は教師, 子どもたち, 保護者, 社会一般から行われる. 校務分掌はクラスの仕事の合間に行なわれ, 相当の困難をともなう. (2)困難が重なったときに, 意欲低下, 焦燥感, 睡眠障害などが訴えられ, 胃潰瘍なども経験している. (3)困難が重なる経過として, 課題が重なり, 課題の山場が集中し, 課題の優先順位が錯綜する事態がみられた. 応援も少ない. もちかえり仕事や長時間の仕事, 昼休み休憩が取れない事態などは, 負荷が過大である証拠と考えられた.
ISSN:1341-0725