HPA-5a抗体を保有し血小板輸血不応状態を示したAMLの1症例

HPA-5a抗体による血小板輸血不応(PTR:platelet transfusion refractoriness)例は非常に少なく, HLA抗体との共存例が少数報告されている. 今回我々はHPA-5a抗体のみ保有するPTRの一症例を経験したので報告する. 症例:46歳女性. A型, Rho(D)陽性, 妊娠歴2回. 平成7年11月にAML(M_0 )と診断され, 化学療法が開始された. PTRを示したため, HLA抗体検査(LCT法, AHG-LCT法)を行ったが陰性(0/20, κ0/20, λ0/20)であったため, HLA適合血小板を得ることはできなかった. PTRが続いたため, M...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 44; no. 5; p. 656
Main Authors 李悦子, 篠原紀美代, 渡邊博文, 廣瀬政雄, 北添健一, 福井美代子, 勝浦洋一, 谷上純子, 永尾暢夫, 黒田泰弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.09.1998
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Summary:HPA-5a抗体による血小板輸血不応(PTR:platelet transfusion refractoriness)例は非常に少なく, HLA抗体との共存例が少数報告されている. 今回我々はHPA-5a抗体のみ保有するPTRの一症例を経験したので報告する. 症例:46歳女性. A型, Rho(D)陽性, 妊娠歴2回. 平成7年11月にAML(M_0 )と診断され, 化学療法が開始された. PTRを示したため, HLA抗体検査(LCT法, AHG-LCT法)を行ったが陰性(0/20, κ0/20, λ0/20)であったため, HLA適合血小板を得ることはできなかった. PTRが続いたため, MPHA法による血小板抗体検査を行ったところ陽性反応を認め, 精査の結果HPA-5a抗体が同定された. retrospectiveに抗体価の検討を行うと, 平成7年12月に4,096倍を示したが, その後力価は変動し32倍から1倍以下を示すこともあった. 患者の血小板型はHPA-1(a+b-)HPA-2(a+b-)HPA-3(a+b-)HPA-4(a+b-)HPA-5(a-b+)HPA-6(a+b-)であった. 日本人のHPA-5a抗原陰性の頻度は約0.1%である. 日赤よりHPA-5a陰性のHPA適合血小板の供給を一度受けたが, 既に全身状態が悪化した状態であったため, 血小板数の増加は確認できなかった. 家系調査でもHPA-5a陰性者はなかった. まとめ:1. 本例は非常に稀なHPA-5a抗体が単独でPTRをきたした点において, 興味深い症例である. 2. PTRを示した場合はLCT法のみならず, MPHA法の併用が適合血選択に重要であると思われた.
ISSN:0546-1448