過去4年間の小児救急患者の臨床統計的観察
今日の救急医療は地域住民にとって最も関心のある事の一つであり社会問題としても重要視されている. 東京女子医科大学病院では1978年4月1日より救急医療センターが開設され, 当科においても歯科口腔外科領域における救急患者の診療に携わっている. 今回は1987年から1990年までの過去4年間に当科救急外来を受診した0歳から13歳未満の小児を対象として臨床統計的観察を行い, その概要を報告した. 全救急患者3916名のうち小児は825名で21.1%を占め, 性別では男児:女児が3:2と男児が多かった. 年齢別では1歳台が最も多く17.8%を占め, 小学校入学前で全体の63.5%を占めていた. 月別で...
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Published in | 小児口腔外科 Vol. 2; no. 1; p. 99 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本小児口腔外科学会
01.05.1992
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0917-5261 |
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Summary: | 今日の救急医療は地域住民にとって最も関心のある事の一つであり社会問題としても重要視されている. 東京女子医科大学病院では1978年4月1日より救急医療センターが開設され, 当科においても歯科口腔外科領域における救急患者の診療に携わっている. 今回は1987年から1990年までの過去4年間に当科救急外来を受診した0歳から13歳未満の小児を対象として臨床統計的観察を行い, その概要を報告した. 全救急患者3916名のうち小児は825名で21.1%を占め, 性別では男児:女児が3:2と男児が多かった. 年齢別では1歳台が最も多く17.8%を占め, 小学校入学前で全体の63.5%を占めていた. 月別では1,4,5,12月が38.3%, 曜日別では土曜, 日曜, 祝・祭日が53.3%を占め, 医療機関の休診日に多かった. 平日においては, ほとんど差はなかった. 受診時間帯別では21時台が最も多く13.6%で16時台から0時台が62.5%を占めていた. 疾患別では外傷が67.4%, 歯牙疾患が24.3%, 炎症, 抜歯および術後合併症の順で外傷の占める割合が大きかった. 外傷のうち63.3%が軟組織損傷で上唇小帯を中心とした口腔前庭に多く, 歯牙・硬組織損傷では歯牙脱臼が80%で, その79.7%が乳歯であった. また顎骨骨折は4例あり, そのいずれも下顎であった. 処置内容別では疾患を反映して縫合が最も多かった. 全身麻酔下で緊急手術を行ったものは10例あり, そのいずれも口腔深部の損傷であった. 以上の事から, 当科における小児救急患者は, 外傷による機能障害や, 歯牙疾患による疼痛などの急性症状によるものがそのほとんどであり, 歯科口腔外科の救急医療の重要性がうかがえた. |
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ISSN: | 0917-5261 |