胸部大血管手術時の出血の管理 ソノクロットによる検討
胸部大血管手術における出血の管理は, 手術の成否に係わる重要な要因である. 出血は原因に応じて適切に管理することが望ましい. ソノクロットは血液凝固および血小板機能を測定することができるので, 原因別の出血対策に寄与できるものと考えられる. 今回胸部大血管手術で, 術中からICU帰室時までソノクロットを用いて血液凝固, 血小板機能の変化を検討した. <方法> 胸部大血管手術が予定された5症例で, 麻酔導入後, 人工心肺中, プロタミン拮抗後, 手術終了時, ICU帰室時に採血し, ソノクロットでACT, Clot rate(CR), Time to peak(T-P), Smaxを...
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Published in | 蘇生 Vol. 22; no. 3; p. 217 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本蘇生学会
10.10.2003
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ISSN | 0288-4348 |
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Summary: | 胸部大血管手術における出血の管理は, 手術の成否に係わる重要な要因である. 出血は原因に応じて適切に管理することが望ましい. ソノクロットは血液凝固および血小板機能を測定することができるので, 原因別の出血対策に寄与できるものと考えられる. 今回胸部大血管手術で, 術中からICU帰室時までソノクロットを用いて血液凝固, 血小板機能の変化を検討した. <方法> 胸部大血管手術が予定された5症例で, 麻酔導入後, 人工心肺中, プロタミン拮抗後, 手術終了時, ICU帰室時に採血し, ソノクロットでACT, Clot rate(CR), Time to peak(T-P), Smaxを測定した. 結果は平均値±SDで表した. なお全例でプロタミン拮抗後から手術終了までの間に血小板輸血を行った. <結果> 各測定時のACT(秒)は155±15, 366±83, 207±84, 171±40, 116±15, CR(clot signal/分)は32±6, 7±3, 21±11, 22±7, 27±8, T-P(分)は19±7, 19±7, 21±7, 15±2, 16±6, Smax(clot signal)は94±9, 66±10, 69±16, 98±9, 87±26であった. <考察> 麻酔導入後の血液凝固および血小板機能は全例ほぼ正常であり, 手術終了時にはほぼ回復し, 止血も問題なかった. しかし手術終了時にSmax値が高値であったことから過凝固状態が発生する可能性が示唆され, 血小板機能を監視する必要があると考えられた. <結語> ソノクロットを用いて胸部大血管手術時の血液凝固および血小板機能を観察した. 手術終了時にはソノクロット測定値はほぼ回復したが, 過凝固状態が発生する可能性が示唆され, 血小板機能の監視は重要であると考えられた. |
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ISSN: | 0288-4348 |