非血縁者間骨髄移植症例の臨床経過
目的:当院にてこれまでに施行された非血縁者間骨髄移植13例の臨床経過をまとめた. 症例:症例は, good risk7例(CML慢性期5例, ALL ISt CR2例), high risk6例(CML急転後2例, CML増悪期1例, ALL, AML 2nd CR各1例, 進行期悪性リンパ腫1例)の計13例. 年齢は中央値35(16~45). 7例はMLC反応陽性であった. 前処置はBU+CYを中心に, MLC反応陽性例ではTLIまたはTBIを, 悪性リンパ腫例では, メルファランを追加した. GVHD予防は, CSP+Short term MTXで, MLC反応陽性例7例中6例では採取骨髄...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 41; no. 1; p. 95 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.03.1995
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ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | 目的:当院にてこれまでに施行された非血縁者間骨髄移植13例の臨床経過をまとめた. 症例:症例は, good risk7例(CML慢性期5例, ALL ISt CR2例), high risk6例(CML急転後2例, CML増悪期1例, ALL, AML 2nd CR各1例, 進行期悪性リンパ腫1例)の計13例. 年齢は中央値35(16~45). 7例はMLC反応陽性であった. 前処置はBU+CYを中心に, MLC反応陽性例ではTLIまたはTBIを, 悪性リンパ腫例では, メルファランを追加した. GVHD予防は, CSP+Short term MTXで, MLC反応陽性例7例中6例では採取骨髄からのT細胞除去を併用した. 進行期悪性リンパ腫例は敗血症のためday24に死亡した. それ以外の12例中11例では速やかな生着がみられた. 1例(MLC陽性例)で生着がみられず, 父親からの再移植を行ったが, 出血性膀胱炎および消化管出血のためday131に死亡した. 7例に急性GVHD(IV°1例, III°1例, 1°5例)が発症した. 内5例はday9~11と移植後早期に発症した. 全例発症後3日以内にステロイド大量投与を行い, 1°の5例は速やかに治癒した. IV°例はday39に死亡した. III°例はステロイド大量投与, CSP持続点滴等にて一時GVHDは軽快したが, その後増悪, day126に死亡した. 感染症の合併は, 出血性膀胱炎を9例に, サイトメガロウイルス抗原血症を6例に認めた. この6例中2例に間質性肺炎を, 1例にサイトメガロウイルス網膜炎を認めた. good risk例では, 7例中5例が生存中であり, 全て移植後6ヵ月以上経過している. 一方, high risk例6例中4例が既に死亡した. 死亡例6例の死因は, 移植時に既に全身状態の悪かったもの1例, 生着不全によるもの1例, GVHDによるもの2例, 感染症によるもの2例であった. 考案:非血縁者間骨髄移植は, good risk例, high risk例ともにGVHD, 感染症の合併が多い傾向を認め, より厳重な合併症対策が必要である. |
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ISSN: | 0546-1448 |